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【日刊マンガガイド】『ぶっしのぶっしん 鎌倉半分仏師録』第1巻 鎌谷悠希

2014/08/08


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『ぶっしのぶっしん 鎌倉半分仏師録』第1巻
鎌谷悠希 スクウェア・エニックス \571+税
(2014年7月23日発売)


中学の合唱から、中世の合掌へ。
ボーイソプラノの少年が主人公の『少年ノート』が完結を迎えた、鎌谷悠希の新作は、鎌倉時代を舞台にしたファンタジックな“仏像”スペクタクルだ。

文治五(1189)年8月、陸奥国奥州・平泉は、同地を治める藤原氏を倒した源頼朝の軍勢を前に、さらなる脅威にさらされていた。その脅威とは、荒れ狂う平泉の地神=ミズチ。
そんななか、ひとりの少年仏師・想(そう)が、仏像を彫っている。
「金鶏山(きんけいざん)が本地 明星菩薩さま 平泉の地を……! 衆生(われわれ)をお救いください!!」
その言葉とともに仕上がった仏像は、彫ったものに神仏を宿す「来迎術」という力で、実体を伴った明星菩薩に姿を変え、ミズチへと向かっていく。
しかし、明星菩薩はミズチに喰われて真っぷたつとなり、左半身を残した仏像に戻ってしまう。そして想もまた、ミズチに体を噛み切られ、右半身だけの姿に……。

想が目覚めたのは、5年後。頼朝によって大仏師・運慶が率いる工房にあずけられていた想は、すべての記憶を失っていた。
ただ、そんな彼に語りかけ、事態を説明する者がいる。明星菩薩だ。そう、想は見た目はそのままに、半分人間・半分仏という身体になり、明星菩薩と意識を分け合うことになっていた。
しかし、そのことを信じようとはしない運慶やその弟子たち。そもそも運慶は、仏を喚び出すという想の力自体を「見えねぇ存在に祈るために 仏の姿をした像がある だから俺たち仏師は仏像を彫る」と否定する。

そんななか、仏殿に四天王像を収めた法要の場で、新たなミズチが出現する。頼朝は想に対して、仏像を彫り、仏を喚び出すことを迫るが、いまは運慶のもとで心安らかに楽しく暮らしている想は動き出せない。そのとき、運慶と弟子たちがある行動に出る!

歴史ものやファンタジー、仏像やバトルには興味がないという人も、魅力的なキャラクターが織り成す世界観に引き込まれること確実。
なにせ想=明星菩薩によると、たとえば四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)は「彼らは筋トレが趣味なんだよ」「誰の筋肉がよりキレているか いつも競い合ってるんだ 4人でね」「上司の帝釈天も『むさくるしいったらない』とボヤいてたよ」らしい。
もちろん神仏だけでなく、ちょっとトボけた想や、親父キャラの運慶など、人間たちもなんともチャーミング。

多彩なキャラクターとドラマチックな運命からも目が離せない、ファンタジックなスペクタクル大作だ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

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