人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは幸田もも子先生!
9月19日(土)より実写映画が公開される学園ラブコメディ『ヒロイン失格』。
主人公は、幼なじみ・利太に10年もの片想いをしている女子高生・はとり。自分は利太のヒロインだと思い込んでいるはとりをよそに、利太は地味な女子・安達とつきあってしまう。利太をとられて発狂するはとりに、女子にモテモテのイケメン・弘光が興味を持って……三角関係に突入!?
本作は、ヒロイン・はとりの変顔や、はとりの片想い相手・利太よりも胸きゅんシーンが多い“2番手男子”弘光が、多くの女子の心を掴んでいることでも大人気!
ということで今回は、実写映画の公開を記念して、原作者・幸田もも子先生に、実写映画の感想や『ヒロイン失格』製作秘話はもちろん、はとりの変顔、幸田先生の推しメンでもある弘光について、たっぷりお話しいただきました!
主演・桐谷美玲さん渾身の変顔に女優魂を見た!!
――映画『ヒロイン失格』、想像を超えるおもしろさでした! 幸田先生は、ご覧になっていかがでしたか?
幸田 ホントに笑いましたし、泣きましたし。でもキュンキュンもするし……映画のキャッチコピーそのまんまです。2回見たんですけど、2回目でもやっぱり笑っちゃいました。俳優さんたちがみんなキャラクターをとてもよく理解してくれて、ありがたいです。
――映画化の話がきたときはどんなお気持ちでした?
幸田 信じられない、のひと言です。話が進んでいく間も、途中で頓挫して流れるかもしれないから、喜びすぎないようにしてました。キャストさんが決定したとき、ようやくああホントに映画になるんだって。
――どれだけ疑り深いんですか(笑)。ところで、『ヒロイン失格』第10巻の最終話に「今春ロードショー ヒロイン失格」という看板が出てきますよね。このときにはもう映画化の話が出ていたんですか?
幸田 いえ、まったくなかったです。
――えっ? 女の子たちの会話にも「桐谷美鈴」とそれっぽい名前が出てくるし……最近読み直して、この頃から決まっていたのかと思ってたんですよ。
幸田 連載中、友だちや読者さんから「桐谷美玲さんが雑誌とかで『ヒロイン失格』が好きって言ってる」と教えてくれて、びっくりしたんです。そもそもこの作品を描き始めたとき、私は桐谷美玲さんをはとりのイメージビジュアルに想定してたので……。でも、私はこのことをだれにも言っていなかったので、すごく驚いたしうれしくて。それで、「私の想い、桐谷さんに伝われ!」と思ってこれを描いたんです。そしたら、桐谷さんがさっそくブログで「桐谷美鈴って私かな」と書いてくれて。あ、伝わったと。これでもうホントに満足だったんです。
――相思相愛、運命の恋愛みたいな話ですね。
幸田 それが、まさかホントに映画化して、しかも桐谷さんが主演を務めてくださることになるなんて。初めて会ったとき、泣きそうになりました。
――原作マンガには、主人公・はとりの変顔がたくさん登場しますよね。それもけっこうすごい顔というか……マンガとしては人気ポイントとはいえ、なかなか実写では難しいと思ったのですが……。桐谷さんは原作の大ファンゆえ、変顔もやり切る、とはりきって撮影に臨まれたそうですね。
幸田 あんなかわいい方がどうやって演じてくださるんだろうと思いましたが。撮影におじゃまさせていただいたとき、台本の後ろに変顔の絵が描いてあって。「先生、この顔ってどうやってやったらいいんですか?」って聞かれて、実演しました(笑)。でも桐谷さんが「ここまではできるんですけどね」ってやってみせてくれた変顔のクオリティが、すでにすごく高くて。それだけでも、もう充分だったんですけどね。
――完璧を求める女優魂、そして原作への愛情があふれるエピソードですね。変顔ってテクニックいりますよね。ただブサイクな顔じゃなく、おもしろくないといけない。
幸田 日々研究してますよ。写メで撮ってみて、これはおもしろくないからボツ、とか……。一時、壁を感じたこともありましたね。私はもうこれ以上の変顔はできないかもしれない、どの顔もありきたりだとか……いったいどこを目指してるんだか(笑)。