新入学シーズンの4月ランキングらしく(関係ない!?)オトコ編はサプライズがいっぱい。
懐かしゲームやら異色のあげあげなお話がまさかの上位にランクインしたり、過去に例をみなかった2カ月連続刊行作品の、2カ月連続ランクインなど、年末に発売される本誌にどう影響がでるか楽しみな作品がラインナップされました。
それではそんな春の到来を感じさせるランキングへGO!
(2015年2月1日~2月28日発売作品を集計)
第1位(212ポイント)
『ピコピコ少年SUPER』 押切蓮介
『ピコピコ少年SUPER』
押切蓮介 太田出版
ファミコンからPCエンジンなど、コンシューマーゲームはもちろんアーケードまで、80~00年代ゲーム史の変遷をそのままに伝えるリアルな体験記。
著者が自らのゲーム人生を描いた自伝的作品のシリーズ最新刊、ついに作者自身の現在とリンクします。ということは当然、世間を騒がせた「あの事件」の渦中にいる著者をも描くわけであって……気になる方はぜひチェックを!
オススメボイス!
■押切少年のピコピコシリーズ第3弾。ゲームで人生を棒に振るギリギリのところで押切少年はゲームとゲームセンターに恩返しを行っている、そんな回顧録的作品。細かな記憶にもとづく描写に感服する。シリーズ中、もっともおもしろい作品だ!(今村 方哉/レコード会社勤務)
■ゲームに没頭した30代後半の男性の胸にささる切なさと、共感できるあるある満載のピコピコ少年の完結作。押切蓮介ファンなら最終回は必見です!(エロ上司/「とらのあな」商品課 バイヤー)
■友人との川下りという少年時代の思い出からオフ会に関する苦い記憶まで、様々な悲喜こもごものエピソードは読んでいて思わずしんみり……と思いきや最終話で現在進行形の重すぎる一撃が……。早く続きが読みたいですね(犬紳士/養蜂家)
■80~00年代ゲーム史の変遷をそのままに伝えるリアルな体験記。「ピコピコ中年」ならば共感ハンパないが、それ以外もノスタルジーをかき立てられる切なく甘酸っぱい青春叙情詩として読める。アウェイな人は必読(井口啓子/文化系ライター)
■あの事件の話を入れつつ、どこまでいってもゲーム愛があふれ出てる。(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■今出ることに意味がある。僕らピコピコ少年はなんやかんやあっても、最終的にはピコピコするのだ(麻野昌三/わんだ~らんどなんば店店長)
■どんなにつらい状況も作品に昇華させる、ピコピコ少年・押切蓮介先生の真の強さを感じた(芝原克也/日本出版販売コミックチーム係長)
■いよいよ作家本人の現在とリンクを果たしたシリーズ第3巻。これまではゲームによって救われた子ども時代や青春時代を描いてきたが、本巻の最終回にて、ゲームが大人になった「自分」をも救ってくれることに涙した(マクガイヤー/ブログ「冒険野郎マクガイヤー」管理人/ニコ生主)
■本来はノスタルジー感はあれども特別涙を誘うようなマンガではないはずだったのに、押切蓮介先生をおそうフィクションをも越える不幸には涙を浮かべずにはいられない(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)
■絶頂からたたき落とされる押切蓮介さんが不憫すぎて……ゲームで遊んで奮い立っていただきたい(フラン/ブログ「フラン☆Skin」管理人)
■さわやかな「川下りだ少年」、キツすぎる「MMO少年」など、あいかわらずの痛々しすぎる思い出が描かれたあとの「糞袋中年」!糞袋に手をさしのべたゲームと旧友に、本作の根っこにあるピュアさを感じた。イカす!(山田幸彦/ライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!
第2位(200ポイント)
『とんかつDJアゲ太郎』 イーピャオ(案) 小山ゆうじろう(画)
『とんかつDJアゲ太郎』
イーピャオ(案) 小山ゆうじろう(画) 集英社
とんかつ屋の跡とり息子・揚太郎は、いつか父親のような一流のとんかつ屋になることを目指し家業に励むが、クラブの世界に足をふみいれたことで新しい目標=DJの道に出会う。
「少年ジャンプ+」での連載当時から話題を呼んだ作品がさっそくランキング入り!
エッジのきいた個性的すぎる絵柄で描かれる、しごくまっとうな少年の成長ストーリーに注目が集まりました。
選者のみなさんによる“うまいこと言ってやったぜ”的コメントの数々(↓)をご覧ください!!
オススメボイス!
■DJがフロアを盛りアゲる=とんかつをカラッとアゲる。なのでDJととんかつ屋は同じ! というこじつけがテーマの作品。いま有名DJの間でも本当に話題になっています。いやマジですよ。特筆すべきはその絵柄。人物の顔は曲がっているし、集中線もバラバラだったりと、一見下手なのですが、音楽が歪みやズレを加えることによってグルーヴを生み出すように、このマンガは絵の下手さがグルーヴを生み出すことに成功しています。マンガにおいて絵のうまさとおもしろさは比例しないといういい例(ゴロー/AV男優)
■人に薦められて読んだ作品ですが、昭和スタイルな、アナログな絵だからこそなのか、読んでいくうちにまるでフロアで思わず腰を動かし、踊ってしまうかのようにその独特のグルーヴにやられました。まさにアゲられました♪ DJ経験があるせいか、劇中のネタもドンピシャにハマり、楽しかったですね。思わずまたプレイしたくなりました。それと最近発売された公式グッズ「しぶかつキャップ」は欲しいですね。そんなところにも心くすぐられる作品です(塚本浩司/COMIC ZIN 商業誌部門責任者)
■王道の少年マンガを意外性のある衣で包んだアゲアゲな一作がついに単行本に! ここからさらにファン層が広がるといいですな(後川永/オタク系よろずライター)
■「ジャンプ+」発のコミック化。ネタの方向性と作画の風味がベストマッチ。DJあるあるというよりは、クラブカルチャーの入門編として興味深い(黒鈴/電子書籍書店スタッフ)
■「ジャンプ+」でのWEB連載時からアツい注目を浴びていた本作がとうとう書籍化! 単行本では、お話のあい間にクラブカルチャーの基礎知識を紹介するおまけコーナーが挟んであり、「おもしろくてためになる」持ち味がしっかり反映されている。また、表紙を触ってみると、絵のとんかつ部分とレコード盤部分に特殊加工で感触をつけてある遊び心もたまらない。そしてまさかの実写とんかつグラビアつき! アゲたてのとんかつ、そして盛り上がるクラブのごとく、満腹感が高い第1巻だ(宮本直毅/ライター)
■『美味しんぼ』『神聖モテモテ王国』『食の軍師』というトンカツマンガの系譜に生まれた新星。出落ちのように見せて、まじめにクラブマンガしています(V林田/咲-Saki-ファン)
■『プラモ狂四郎』に「パーフェクト・ガンダム」が登場した、あの感じ(侍功夫/映画評誌「Bootleg」代表)
■ギャグとしか思えない要素だけをmixしたにもかかわらず、圧倒的完成度を持つ青春マンガ。狙いすぎている仕掛けとは裏腹に、アゲ太郎の純朴な志を描くギャップが、マンガとしての旨みを醸成して、いつ読んでも、だれが読んでも、手放しでアガる!(漫画トロピーク/謎の社会人漫画サークル)
■一見「ガロ」的なんだけど、なぜか「ジャンプらしさ」を感じる作品。体調のいい時に読むとこっちのテンションもサクサクとアガるぜ!(大西祥平/マンガ評論家)
■アゲ太郎1話目における「とんかつ屋とDJって 同じなのか!!???」のパンチラインは衝撃的。このセリフだけの出落ちマンガか……?と危惧したものの、その後はアゲ太郎がDJとして、とんかつ屋として成長していく様子が描かれていて見事。あと周辺キャラクターがいちいち愛くるしくていいですね(冬蜂/風俗情報サイト「フーゾクDX」制作部)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!
第3位(188ポイント)
『乙嫁語り』 森薫
『乙嫁語り』
森薫 KADOKAWA
イギリス人ヘンリー・スミスが出会った、中央アジア各地の習慣や文化と、様々な文化圏で生きる美しい嫁たちを描いた作品。
最新巻では新章に突入、中央アジアの地方都市に始まったスミスの旅は、カスピ海を迂回してペルシアへ到達した。
前巻までとうって変わって“女同士の友情”をフィーチャーしています。
テイストすら変わった!?という感想すら寄せられています。
オススメボイス!
■一夫多妻の「必要」を描きながら、現代でそれを読むぼくらを幸せな気持ちにさせてしまうという摩訶不思議な芸当をやってのけている。NONの『ハレ婚。』と比較するとおもしろいと思った(紙屋高雪/ブログ「紙屋研究所」管理人)
■今回は閑話休題的な、詩的で不思議な空間が広がります(境真良/国際大学GLOCOM客員研究員)
■お風呂シーンがたくさん! 前巻までとは雰囲気を変えてほのぼの、女同士の友情を軸にしたお話です。時代の異なる異文化の習慣にとまどったりしますが、基本的に綺麗な女性陣がすばらしく目の保養になってくれます。姉妹妻って、楽しそうだなーと思います(アキミ/ブログ「ボーイズラブを読む!」管理人)
■「マンガ大賞2014」を受賞した『乙嫁語り』の最新刊がようやくリリース。今度の舞台はペルシア、そして姉妹妻となかなか素敵な異文化にふれられます。圧倒的な描きこみに豊かな水の表現と、マンガを読む楽しみを感じられますね(きんどう/Kindle本まとめサイト管理人)
■待ちに待った7巻は、(ほぼ)裸、裸、裸、の一冊。装飾品などの細部まで描きこみまくりの美しい絵が魅力(のひとつ)だと思っていたのですが、裸描写も圧巻で、うっとり。やっぱりすごいー(かとうちあき/『野宿野郎』編集長(仮))
■第4の乙嫁、アニス登場。アニスの絵があっさり目だと思ったら意識してそういうふうに描いていたらしい。さて、お話は「姉妹妻」という地域独特の慣習にもとづくもの。よくいう「百合」とも違う、深くて濃い慣習や地域の文化面を軽やかに描いているので、読みやすくていい。それでいて絵の描き込みはあいかわらずすばらしい。しかし、また第1の乙嫁・アミルとカルルクについてはほとんどふれられていない。ただ、こういう寄り道にこそ、作者の本領な気がする。そういった作者の描きたいモノをじっくりと腰をすえて描いてほしいし、ファンとしてもじっくりと腰をすえて読んでいきたい(マキタマキナ/漫画愛好家)
■今度はペルシアです。なんだか絵のタッチが今までと違い新鮮です(旭屋書店 なんばCITY店 平田/旭屋書店 なんばCITY店 コミック担当)
■これまでとひと味違った新章と人物がユニークだ(辻真先/アニメ脚本家・ミステリ作家)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!