『センセイ君主』第6巻
幸田もも子 集英社 \400+税
(2015年6月25日発売)
女子高生と教師の恋愛マンガってそれほど珍しくないはずなのだが、本作は巻を重ねるごとにフレッシュさが増すように思う。
痛快さも、そしてロマンティックさもしっかりとある『センセイ君主』のおもしろさのキモは、図抜けたキャラの魅力にあるのだろう。
見た目はかわいいけれど、女子力は低くておっちょこちょいで……だけどまっすぐな一生懸命さが不思議とかわいいヒロイン・あゆは。ときおり少女マンガの領域を超えた無茶な泣き顔・変顔・凹み顔で読み手をぶったまげさせるのは、もはや著者のお家芸と言ってもよさそうだ。
そして、イケメン・弘光先生の“クールキャラ”ぶりもまた振り切れていて小気味いい。仕事でもプライベートでも必要なことはするけど、不要なサービスはしないという線引きがじつに明確なのだ。
どんな言動も確固とした理屈の上に成り立っていて死角なし、おまけに空手の有段者。
2人がつきあっていることをバラされそうになるお約束展開も、弘光先生がスマートに、あるいはそのクールさからは想像できないようなド直球の正攻法で切り抜けちゃうのが快感なのだ。
いっぽうで、巻を重ねるごとに少しずつ、ちょっとかわいい一面さえ見えてくるのがたまらない。
ようやく初キスもすませ、幸せいっぱいのあゆはに大ピンチ!! 最新第6巻ではついにライバルが登場する。
弘光先生の幼なじみで、初恋の相手でもあるピアニストの秋香さんは、ほんわりして見えるが曲者の予感。まったく己の揺らがない無敵キャラである弘光先生がどんな態度をとるのかが、これからの見どころだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」