『これは恋のはなし』第11巻
チカ 講談社 \581+税
(2014年7月7日発売)
31歳、元売れっ子の作家・内海真一。プレイボーイな彼は、幼いころ両親を亡くし、孤独だった。
彼の家に住む猫を育てに通っているのは、10歳の少女・森本遥。彼女は兄を事故で亡くしたことで母親が病に臥せり、父親は仕事に忙しく孤独だった。
真一は遥の父と、彼女の「保護者になる」ことを約束し、小学、中学、高校と遥と生活することになる。2人の奇妙な共同生活が始まる……ってところで、タイトルが『これは恋のはなし』でしょ。この21歳差を埋めて恋愛関係を成就させる、ゴールは決まっているわけだ。
しかし31歳と10歳、21歳の差はあんまりにも大きすぎる。
遊び人だった真一は本当の恋を知らなかったのか、真摯に向き合ってくる遥に心惑わされドギマギするばかり。どうにも自分の気持ちがわからないし、うまく伝えられない。
そして、どんなに遥が成長しても21歳差という事実は埋まらない。あとは真一が自分の気持ちを確かめ、覚悟できるか次第。気がついたら好きになってしまった自分の気持ちを、どう咀嚼していくかの、おっさんの物語だ。
11巻でついに、ようやく、真一は「遥のこと……俺は、愛しています」と口にする。
よかった、よくがんばった! でもまだ遥は高校生だから手ぇ出すなよ!
家族を失った2人が、ゆっくり時間をかけ、悩み抜いたの答えだから、11巻の大団円は本当に心地いい。
ちゃんと読むと、彼が単にロリコンというわけじゃなく、時間をかけて真の愛を2人で育んできた様子もわかる。そのための11巻という長さだ。
なにはともあれ、遥が20歳になるまでいっさい手を出さなかった真一(41)は、相当偉いと思います。これこそが恋のはなし。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」