このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

【インタビュー】堀尾省太『ゴールデンゴールド』福をもたらすというより●●●●してしまう存在!? 謎のイキモノ(?)“フクノカミ”の正体に迫る!

2018/01/29


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、堀尾省太先生!

『このマンガがすごい!2017』オトコ編5位にランクインした驚愕のマネースリラー『ゴールデンゴールド』。 物語の舞台は福の神伝説が残る田舎の島。そこに住む少女・琉花は、たまたま奇妙な置物を拾ったことで日常が一変してしまう!
置物を山の中の祠に置き、“ある願い事”を考えたとたん、琉花の目の前に“フクノカミ”によく似た異形が現れた! そしてその日から、琉花をはじめ琉花の祖母に異変が起こり、そして島をも巻きこんだ大騒動へとつながっていく……!

「人とお金を集める力」を持つフクノカミによって、少しずつおかしくなっていく琉花の祖母や島民の姿に、ゾクゾクしっぱなしの本作。いまだに正体不明の“フクノカミ”だが、昨年発売された最新第3巻では、マザコン気味の刑事やSNSを操る琉花の母親など一癖ありそうなキャラも加わる、カオスな展開に突き進んでいる。

前作『刻刻』のアニメもついに放送をスタートし、ますます注目を集める堀尾省太先生。そんな鬼才の頭のなかを覗くべく、「このマンガがすごい!」取材班は本丸(「モーニング・ツー」編集部)へと突撃してきましたよ!

著者:堀尾省太

広島県生まれ。高橋のぼる氏と能條純一氏に師事。連載デビュー作『刻刻』で一躍注目を集め、同作はマンガ大賞2011にもノミネートされた。著書に『刻刻』全8巻。単行本未収録の『刻刻 番外編 —300日後—』は各電子書店にて無料配信中。

初代担当が登場!! 20年ぶりの再会で衝撃の事実が明らかに!?

――『ゴールデンゴールド』は、デビュー作にして長期連載となった『刻刻』(「モーニングツー」2008年-2014年)が完結してから、約1年ほどでのスタートとなりましたね。

堀尾 担当さんから「あまり間をあけないようにしよう」といわれていたんですけど、それでも1年空いちゃって。

堀尾先生が2008年から2014年に「モーニング・ツー」で連載していた『刻刻』。2018年1月から放送スタートしたアニメも、現在好評放送中だ。

――1996年にアフタヌーン四季賞大賞を獲得されてから『刻刻』の連載開始まで12年あったことを思えば短期スパンです。

堀尾 まぁ、あんまり空けてしまうと編集部と縁遠くなってしまう部分もありますので。ただ、それなりにゆっくりさせてはいただいたんですけどね。

――その間は何をされていたのですか?

堀尾 引きこもりです(笑)。ゲームをやったり、ぼーっとしたり。ただ新連載用のプロットがあるていどできてからは、瀬戸内のほうに旅行へ行きましたけど。

――その旅行はいつごろですか?

堀尾 2015年の3月~4月くらいです。2週間ほど自転車でぐるぐるまわって……。


■と、ここでなんと、取材場所の「モーニング」編集部をたまたま訪れた初代担当・渡辺さんが、堀尾先生に声をかけてきた!

渡辺 おお、堀尾君かい!?

堀尾 お久しぶりです。

――お2人は何年ぶりの再会になるのですか?

堀尾 僕がアフタヌーン四季賞を獲ったのが1996年だったので……。

渡辺 約20年ぶりになるのかな。

――そうなんですか!

渡辺 3回くらい打ちあわせをして、それっきりになっちゃったからね。でも僕は当時から彼のことは天才だと思っていたよ。天才すぎてデビューできないと思っていたくらい(笑)。

堀尾 ありがとうございます。おかげさまで無事デビューできました。

渡辺 でも一流になったよねぇ。よかったよかった。それでは、邪魔したね。

――偶然の再会に立ちあえて光栄です。

担当 あまりの偶然に僕も驚いています(笑)。すみません、インタビューを続けてください。


マネーゲームではなく、もうちょっと原始的な方向性でいきたかった

――ではあらためて。『ゴールデンゴールド』のアイデアの萌芽は、どんなところにあったのでしょうか?

堀尾 次は居候モノをやりたいなと思っていたんです。その話を担当さんにしたら「そいつを福の神にするのはどう?」っていわれて。

担当 そんな軽い感じでしたっけ? 最初は「物の怪のたぐいは出してね」みたいな、お願いだったと思いますけど。

突如として少女の前にあらわれた不気味なイキモノ(?)。動くししゃべるし、いったいコイツの正体はなんなんだ!?

――『刻刻』の神ノ離忍のような。

担当 はい。デビュー前の読み切り作品も妖怪が出てきますし。得意なことをやらないでどうすると。そういう話をしている時に、福の神というキーワードが出てきました。

――居候モノという前提があって、その後に妖怪~福の神。

担当 あとは商店街の自治会モノってネタも、堀尾先生から出てきて。女子中学生が商店街を改革する、みたいな。

堀尾 それは自分で用意したというよりも、話しているなかで出てきたネタですよね。

担当 でも堀尾先生がいっていたんですよ。中島らもの『日の出通り商店街 いきいきデー』みたいなものをやりたいって。

――「世にも奇妙な物語」で実写化もされた、バトルロワイアル的な短編ですよね。

担当 みんなで殺し合いする話には結局ならなかったけど(笑)。商店街だったらお金云々って方向にもなるので。

“フクノカミ”によって感化されてしまう島民たち。異様さと不気味さにあふれるシーンだ。

――なるほど。居候→福の神→商店街×女子中学生とキーワードが揃ってきました。

堀尾 ただマネーゲームみたいなものは興味なくて、それよりも、もうちょっと原始的な方向性でいきたかった。生き物ってエントロピー(の増大)に逆らう存在じゃないですか。フクノカミはその究極系というか、行きすぎたもの。それでいて普通の人間と共通する存在なんですね。

――福をもたらすというより、引き寄せてしまう存在。

堀尾 簡単にいえば食欲のタガが外れちゃった人みたいな。ひとり占めする性質の持ち主で、そのためにはお金が必要。だから、とにかく引き寄せてしまう。


“フクノカミ”が登場してから、琉花の周囲に次々と変化が。琉花の祖母の宿や店が急に繁盛しだすが、どこかオカシイ……?

――ちなみに先生自身は、欲は強いほうですか?

堀尾 平均的だと思います。一生暮らしていけるだけのお金が持てればいいかな。ただ物欲はあまりないかも。いまほしいのは家くらいです。それも仕事場としてなので。もしもマンガを描かないのであれば、ワンルームでOKです。

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング