日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ゴールデンゴールド』
『ゴールデンゴールド』第1巻
堀尾省太 講談社 ¥620+税
(2016年6月23日発売)
時間が止まった世界で、どこにでもいそうな平凡な家族と謎の宗教団体が凄惨な戦いを繰り広げる異色サスペンス『刻刻』でデビュー。マンガ読みの間で話題を集めた堀尾省太の待望の新連載。
舞台は、福の神伝説が残る瀬戸内の離島。
海辺で奇妙な置物を見つけたヒロインの少女が、冗談半分に「ある願い」をこめて、それを山のなかの祠に置いたところ、「フクノカミ」を思わせる異形の生き物が現れる。
少女と東京から取材でたまたま島を訪れていた作家と編集者をのぞく、ほぼすべての島民には「フクノカミ」はなぜか普通のおじさんにしか見えないのだが、その不思議なご利益は、やがて人々を金欲へとかりたててゆくことに――。
素朴な村の日常が少しずつ侵蝕されてゆく違和感、人々が信じてやまない「神」という存在……。
飄々とユーモラスななかに漂う不穏な空気は、いがらしみきおの諸作を彷彿させるものもあり。表紙からは想像できない、深淵な物語が展開されてゆきそうな期待大!
少女のささやかな夢の行方は? 人の願いを叶える「フクノカミ」は、はたして神か悪魔なのか?
とりあえず、出版社サイトの試し読みでピンときたら必読。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69