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『刻刻』(堀尾省太)ロングレビュー! 時が止まった世界で展開する息づまる戦い

2014/12/10


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『刻刻』第8巻
堀尾省太 講談社 \750+税
(2014年10月23日発売)


「モーニング」の増刊として読み切り長編や注目の新人による連載を意欲的に掲載している「モーニング2(現・モーニングtwo)」で2008年より連載され、水木しげるや伊坂幸太郎、岩明均、花沢健吾といったクリエイターからの高い評価を受けていたマンガ『刻刻』が、先ごろ発売された第8巻をもって完結した。

就職活動中の佑河(ゆかわ)樹里は無職の父・貴文、ニートの兄・翼と隠居した祖父、母・伸子、それにシングルマザーの妹・早苗と甥の真が加わって、なんの変哲もない暮らしを送っていた。
ある日、真と翼が幼稚園から帰る途中で誘拐される。犯人は宗教団体「真純実愛会(実愛会)」に雇われた男たちで、身代金500万円受け渡しのタイムリミットに間に合わないと判断した祖父は、不思議な石を媒介とした“止界術”という秘術を使って時間を止めてしまった。
佑河家に代々伝わる止界術で森羅万象すべてが静止し、樹里と祖父と貴文は6時59分で止まったままの「止界」のなかで、家族奪還のために奔走する。

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物語はおもに「止界」で展開するが、その世界観設定と描写が秀逸。
連続する時間の一瞬を切り出し、樹里たちはその空間内を自由に動きまわることができる。すべてが止まった時の世界で物質に触れることはできるが、それは触れた後の状態を保持したままで、術を解いたら二度とその瞬間には戻れない。
止まったままの人間=「止者」を排除しようとすると、神ノ離忍(管理人)によって自分自身が排除される(=殺される)。

考えようによっては世界そのものを支配できる可能性をはらむ超能力だけに、祖父は頼りない(うえに、キレやすい)息子の貴文と孫の翼には術を継承しなかった。
そのかわり樹里に術を伝えようとするが、ムキになりやすい性格とある特殊能力のせいで彼はこれを断念し、秘密を抱える決意をしている。

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単行本情報

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