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『ゴールデンゴールド』 第2巻 堀尾省太 【日刊マンガガイド】

2017/02/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ゴールデンゴールド』


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『ゴールデンゴールド』 第2巻
堀尾省太 講談社 ¥620+税
(2017年1月23日発売)


『このマンガがすごい!2017』オトコ編5位にランクインしたフクノカミ奇譚、待望の第2巻。
福の神伝説が残る瀬戸内の寧島(ねいじま)で巻き起こるキテレツな物語に、不穏な空気が膨張を始める。

片想い中のオタ男子・及川君と話を合わせるために、あいかわらずアニメを猛勉強している健気な女子中学生・早坂琉花(はやさか・るか)。
彼女が拾った奇妙な物体=フクノカミの効力は絶大で、実家の早坂商店は大繁盛だ。

早坂商店を切り盛りする琉花の祖母はどんどん精力的になり、店をコンビニ化することに。
その結果、年寄り中心の限られた客数を分けあって成り立っていた島の商売バランスがイッキに崩れていき、軋轢が生まれてしまう。

一方、寧島に取材で滞在している女流作家の黒蓮(くろはす)は、島外の人間にしか認識できないフクノカミの正体を探るべく調査を開始。
江戸時代にも寧島の景気が著しく活況になった時期があったことを突きとめる。

そうこうしているうちに琉花の祖母はどんどん若返っていき、さらに自身の派閥についた商売人にフクノカミの影響力を拡散。
ついには、これまで島の生活を担ってきたスーパー「岩奈屋」との抗争にまで発展してしまい……。
いや~、おもしろすぎてページを繰る手が止まらない!

のんびりと暮らしていた小さな島の住人たち。そこに入りこむ本格的な資本主義。
人間たちはフクノカミによって完全におかしくなってしまったわけではなく、目の前にぶらさがる“金”によって、これまで隠れていた己の欲望を炙り出されただけなのだ。

リゾート開発かもしれないし、埋蔵金発掘かもしれない。
いかなる田舎町でも起こりうる事象を“フクノカミ”という“異形の象徴”を使ってエンタメに仕立て上げる堀尾省太には、脱帽しきりである。

果たして寧島の行き着く先には何が待っているのか? そして琉花のせつない恋の行方は――。
第3巻の刊行まで待ちきれない諸兄は、連載誌の「モーニング・ツー」を購読すべし!



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。

単行本情報

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