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『山田参助の桃色メモリー』 山田参助 【日刊マンガガイド】

2016/11/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『山田参助の桃色メモリー』


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『山田参助の桃色メモリー』
山田参助 KADOKAWA ¥780+税
(2016年10月24日発売)


『あれよ星屑』で一般マンガシーンでも注目を集めている山田参助が2003年から2009年にかけてエロ系実話誌で発表していた作品をまとめた1冊。これはよほど熱心なエロor参助ファンでないかぎり、読んだことがないレアな作品ぞろいである。

まず目をひくのが、ナウなヤングたちがニャンニャンする80年代リバイバルな作品シリーズ「ぴちぴち症候群(シンドローム)」。東京トンガリキッズから角川映画、大友克彦まで、遊び心あふれる多彩なタッチは、オリジナル作品とは違う「お仕事もの」ならでは。
たのきん、金パチ、エマニエル坊や、おしん……などなど、シーンに応じてクドイまでにいちいち盛りこまれた80'sネタも楽しすぎる。

なかでも、カセットデッキに犯される少女のエピソードが最高! 
「A面が終わったら止まるかと思ったらオートリバース」てな小ネタもいちいちうますぎて、ベータビデオ、レーザー、オープンリールまで乱入してくんずほぐれつのシュールすぎる濡れ場の果てのオチには膝カックン。
「エロさえ入ってればなんでもいい」というユルさにまかせて、逆ギレ・閃きのままに描きまくっていた才能が炸裂。こりゃ今こそ「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」というヤツですよ。

たとえ風俗体験情報誌のベタなネタマンガであろうと、最後にはなぜか老女の大東亜戦争体験ピロートークへと終着しているのが、山田参助ワールドなわけで。ブルージーな場末感ただよう街で、場当たり的な男女の交わりがダラダラと描かれる地方風俗イメージマンガ「人生の水たまり」は、神代辰巳のロマンポルノをも彷彿させる異色作。山田参助という著者の懐の広さにつくづく驚かされる。

そっと埋めもどすどころか今こそ、この秘めた奥義の数々を一般マンガシーンでぜひ存分に開花させていただきたいものである。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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