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『憂国のモリアーティ』 第1巻 コナン・ドイル(案) 竹内良輔(構) 三好輝(画) 【日刊マンガガイド】

2016/11/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『憂国のモリアーティ』


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『憂国のモリアーティ』 第1巻
コナン・ドイル(案) 竹内良輔(構) 三好輝(画) 集英社 ¥438+税
(2016年11月4日発売)


シリーズ累計100万部を突破した『監視官 常守朱』の三好輝の最新作。
コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズを原案に、ホームズのライバル・モリアーティ教授を主人公としたのが『憂国のモリアーティ』である。

『シャーロック・ホームズ』シリーズの原作(ファンの間では「正典」あるいは「聖典」とも呼ばれる)では、「犯罪界のナポレオン」と称され、悪の権化として描かれるジェームズ・モリアーティ教授。そうした描かれ方は、ホームズ物をベースにした二次創作においても、ほぼ踏襲されてきている。

そうしたなかで本作ではモリアーティを、階級社会のイギリスで、貴族でありながら、搾取される階級の人々を救うために立ち上がった者としている。モリアーティが授ける知恵は、弱き者たちの反撃の一手となりえるのである。
こうした解釈は、じつに新鮮だといえよう。

悪の権化から一転、好感の持てる美青年となったモリアーティ(「正典」の悪役っぽいモリアーティとはまったく真逆)。
そのモリアーティと対峙するホームズが、どのようなキャラクターとして登場するのかは、非常に気になるところだ(ホームズは、第1巻の冒頭でちらりと影絵で出てくるだけ)。

本作の舞台である19世紀の英国は、格差社会の進行が叫ばれる21世紀の日本と重ねて読むこともできるだろう。
第1巻は、モリアーティたちが、階級制度に縛られた国を変えていかなければならない、と決意するところで幕となる。
これからの展開に期待したい。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。「本格ミステリ・ベスト10」(原書房)にてミステリコミックの年間レビューを担当。

単行本情報

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