住所はロンドン・ベーカー街221Bの下宿、同居人は医師のジョン・H・ワトスン……。作家コナン・ドイルが創造した、世界でもっとも有名な私立探偵、それがシャーロック・ホームズ!
もし、コナン・ドイルによるホームズ作品を読んだことがない人でも、すでに「名探偵のアイコン」と化したホームズの名を知らない人はいないでしょう。近年も、ベネディクト・カンバーバッチ主演のドラマ『SHERLOCK/シャーロック』が大きな話題を呼び、今までホームズ譚に触れたことがなかった、新たなファンを多数獲得しています。
その天才的な観察眼と推理力、そしてアクの強い個性的なキャラクターを主役とした物語は、マンガにおいてもかっこうのモチーフ。
そこで今回は、パスティーシュ作品の執筆やアンソロジー編纂、さらには異色のホームズ・コミック『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』の翻訳などなど、さまざまなホームズ関連の著作を多数発表している作家の北原尚彦さんに、「シャーロック・ホームズ」を題材としたマンガのなかから、オススメの3シリーズを選んでいただきました。どの作品も、コナン・ドイルの手による「正典」とはまた違った魅力を持った作品ばかりです!
[※2011年から2014年12月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています]
北原尚彦さんイチオシの3シリーズ!
『SHERLOCK ピンク色の研究』『SHERLOCK 死を呼ぶ暗号』Jay.
『SHERLOCK ピンク色の研究』
スティーヴン・モファット/マーク・ゲイティス(脚本)Jay.(画)
KADOKAWA \560+税(2013年8月2日発売)
『SHERLOCK 死を呼ぶ暗号』
スティーヴン・モファット/マーク・ゲイティス(脚本・原案)Jay.(画)
KADOKAWA \560+税(2014年6月7日発売)
「シャーロック・ホームズが現代人だったら?」という設定の人気英国ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』をコミカライズしたシリーズ。
著者のペンネームはアルファベット表記だが、アメコミ翻訳などではなく、我が国オリジナルのマンガ作品。
海外の『SHERLOCK』ファンに「日本にはこんなのがあるんだぜ」と胸を張って自慢できるレベル。ドラマを復習するのにも最適。
現在、ドラマ版の第2話「死を呼ぶ暗号」まで単行本化されており、第3話「大いなるゲーム」が連載中。
『クリスティ・ハイテンション』新谷かおる
『クリスティ・ハイテンション』第7巻
新谷かおる メディアファクトリー \552+税(2011年10月22日発売)
シャーロック・ホームズの姪・クリスティが主人公。
アクション・推理がバランスよく取り混ぜられている。シャーロック・ホームズ作品をちょっとひねった形で展開させたり、「語られざる事件」を主題にしたりと、ホームズ好きにはなかなかたまらない。
単に「主人公をホームズの姪に設定しておきました」というだけのコミックではない。
成長したクリスティが活躍する続篇『クリスティ・ロンドンマッシブ』も、現在進行中。
『シャーロッキアン!』池田邦彦
『シャーロッキアン!』第1巻
池田邦彦 双葉社 \600+税(2011年2月28日発売)
シャーロック・ホームズ研究家(シャーロッキアン)の大学教授と、今まさにシャーロック・ホームズの魅力にハマっている女子大生とが主人公。
シャーロッキアン的な要素と、実際に発生する事件とがシンクロして展開する。
ホームズに関する薀蓄が次々に披露されるのも楽しい。