『ヤコとポコ』第1巻
水沢悦子 秋田書店 \734
(2014年5月8日発売)
少女マンガ家のヤコと、ネコ型ロボットのポコが織りなす日常の物語。照れ屋なヤコは、ポコを手放しでかわいがったり甘やかしたりはしない。しかし、2人のやりとりの一つひとつに、じんわりと心を潤される。
ヤコは、そもそもポコを「マンガ家新人賞の副賞」として手に入れたのだ。本作の舞台は“やや未来”で、ロボットをお手伝いとして使うのは当たり前。
持ち主はロボットを「かんぺき」「てきとう」「ダメ」のモードに設定することができる。仕事に使うなら「かんぺき」、ペット的にかわいがりたいなら「ダメ」でよし、という具合。ヤコはポコにマンガのアシスタントをさせているが……“てきとうモード”に設定されたポコはそう優秀というわけではない。
世の中の「かんぺき」なロボットを見知っているポコは、ときどき疑問に思うのだ。「もしボクがかんぺきモードだったら?」。だったら、もっとヤコはたくさん原稿が描けるんじゃないかと。なぜ、ヤコはあえて“てきとうモード”を選んだのか?
ヤコは言う。本当に何もかも完璧なんてありえないし、完璧ゆえにできなくなることだってあるんだよ、逆に完璧じゃないから得られるものもあるんだよ、と。