空が灰色だから 1
阿部共実　秋田書店　￥452

6月11日は入梅（梅雨入り）になることが多いため、日本洋傘振興協議会によって「傘の日」に選定されている。 穏やかな春も終わり、不安定な灰色の空模様が心を憂鬱にさせる梅雨。こんな時期にピッタリのマンガといえば、阿部共実『空が灰色だから』になるだろうか。

少年少女たちが送る日常のショートストーリーを、サスペンス、コメディ、ホラーなど、様々な切り口で描く本作。各エピソードは「思春期のままならなさ」をテーマとしていることが多いため、後味の悪い結末で終了することも珍しくない。

無理解から生じるすれ違いや、仲間内での保身による裏切りなど、青春の挫折が累々と積み重なるさまは、まるでじくじくと振り続ける長雨のように心を蝕む。
読むのにいくぶんか苦労するかもしれないが、たまには梅雨がはらむ「負の雰囲気」に、読む本を合わせてみるのもよいかもしれない。

＜文・一ノ瀬謹和＞
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。