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【インタビュー】五十嵐大介『ディザインズ』SF……ではなくエンタメ!? 「けもの」ブームを牽引する半人半獣の女子のモデルは……

2017/03/23


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、五十嵐大介先生!

自然界を超越した異形の生物"HA"(ヒューマナイズド・アニマル)。ヒトと動物とのハイブリッドが繰り広げる近未来SFストーリー『ディザインズ』。
緻密に描写された風景、驚異的な画力で表現されるHAたちの躍動感が多くの読者の驚嘆を呼び、『このマンガがすごい!2017』オトコ編第18位にランクインされました。


著者:五十嵐大介

1969年埼玉県生まれ。『魔女』(小学館)で第8回文化庁メディア芸術祭優秀賞、『海獣の子供』(小学館)で第13回同賞・第38回日本漫画家協会賞優秀賞受賞。
自身の自給自足経験をもとに描いた『リトル・フォレスト』(講談社)は、2014年実写映画化された。

現在「月刊アフタヌーン」(講談社)にて『ディザインズ』、「ヒバナ」(小学館)にて『きょうのあにいもうと』を連載中。

Twitter:@igadaioshirase

今回は、五十嵐先生が「半人半獣」をテーマにした理由、カエル×かわいい女の子誕生の秘密、作品を通して表現していきたいと考えている世界観などについて、たっぷりとおうかがいしました!

『ディザインズ』は「半人半獣」がテーマ

――五十嵐先生の『ディザインズ』が「このマンガがすごい!2017」のオトコ編18位にランクインしました。

五十嵐 ありがとうございます。私は今までランキング的なものに縁がなかったので、最初に連絡をいただいた時には驚きました。

――五十嵐先生というと、2004年に『魔女』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞、さらに2009年には『海獣の子供』(小学館)で日本漫画家協会賞の優秀賞を受賞されています。それ自体はすばらしいことなんですけど、作家性が強くてアーティスティックな、「コアなマンガファンに愛好される作家」とのイメージがあるように感じるのですが……。

五十嵐 それはよくないことですよね。
たしかに私の作品を読んでくれる読者の方って、ある程度偏っているというか、一般的にヒットしているマンガを好むタイプとはちょっと違うのかな、と思っていました。もちろん、カルト的な作家さんというのはいらっしゃって、それはそれですごいことなんですけど、私としてはもっと多くの方に読んでもらいたいという気持ちはあります。

──ただ、今回はまだ1巻しか出ていない段階でのランクイン。それは、そもそも“エンタメとしておもしろい”からこそ、選者は投票したと思うんです。なので今回のインタビューが「『ディザインズ』から始める五十嵐大介入門」のような導線になればいいな、と思っているのですが。

五十嵐 それはうれしいですね。

──『ディザインズ』は、かなりエンタメ寄りにしようと意識していたんですか?

五十嵐 いやぁ、私としては今までもずっとエンタメのつもりで描いてきたんですけど、それが世間の人と齟齬があったのかもしれないです。『ディザインズ』はアクションシーンが多いので、それがよかったのかもしれませんね。

──『ディザインズ』ではHA(ヒューマナイズド・アニマル)という、ヒトと動物のハイブリッドが出てきます。五十嵐先生はこれまで土俗的なものとかアニミズム[注1]的なもの、神話的なものをモチーフにされることが多かったと思うのですが、今回SF設定にした理由をお聞かせください。

五十嵐 これは先に「半人半獣を描きたい」というのがあったんです。半人半獣はギリシア神話なんかにも出てきますが、昔から好きだったんですよ。今回はそれを前面にダーンと押し出して描きたかったんです。ただ、現代を舞台に半人半獣を描こうと思ったら遺伝子操作かなぁ……と。だからSF的な設定というのは、あとづけなんですよ。だから『ディザインズ』も、形を変えた神話のような感じはあるんですよね。

──なるほど、「半人半獣」が先なんですね。

五十嵐 なので自分のなかではSFという意識はないんです。あんまり「SFだ」みたいなことをいうと、本当にSF好きな人から怒られないかな、と思うんですよね。いちおう、もっともらしい設定は考えているんですけど、厳密にサイエンスの部分を考証しているわけではないです。

──そこがやりたいわけではない、と。

五十嵐 そういうことです。

「かわいい女の子を描く」というのもテーマのうち

──では今回やりたかったこととは、なんでしょう。先ほど話に出たアクションですか?

五十嵐 それもありますけど、やっぱり半人半獣ですね。カエルが主人公で、それを描きたいという思いがありました。
カエルの皮膚を持った主人公がいて、その皮膚感覚は人間とは違う感覚で……ということを思いついていたので、まずはそこがメインだったんです。だからもっとカエルっぽいデザインにしようかな、とかも考えていたんですけど、最終的にはかなり人間に寄せて、足だけカエルにしたんですね。
そのデザインを活かすにはアクションがあったほうがいいだろうなぁ、と。

──主人公のクーベルチュール、一見すると普通の女の子なんですけど、目がカエルっぽくなるのがいいですね。すごいアイデアだと思います。

虫を見る目がカエルのような初登場時のクーベルチュール。

虫を見る目がカエルのような初登場時のクーベルチュール。

五十嵐 ありがとうございます。かなりいろいろなバージョンを考えていたんですけど、かわいらしさを前面に出したほうがいいかな、と。もうちょっと「カエルっぽい気持ち悪さ」と「かわいらしさ」の中間を狙ってたんですけど、読者の感情移入のしやすさとか、いろいろなことを考えた結果、このくらいかな、と決めたんです。

──カエルかわいい、っていう女性は多いですよね。

五十嵐 私も昔からなぜかカエルが好きなんですよ。いちばん最初の連載作品(『はなしっぱなし』(講談社))のカバーイラストに、なんとなくカエルを描いたんです。それ以来、どうも気になって、意識的にカエルを描き続けてきたんですが……。

──では今回は、満を持してのカエル主人公なんですね。

五十嵐 そうですね、満を持して(笑)。

──これ、個人的なことなんですが、私は爬虫類とか両生類が苦手なんですよ

五十嵐 なるほど(笑)。そういう人にも受け入れてもらえるように、あれくらいのバランスでおさめたんです。

──でも、そのバランス感覚って難しいですよね?

五十嵐 もうちょっとカエル寄りでもいいんじゃないか、という気持ちは最後まであったんですけどね。けど、「かわいい女の子を描く」というのもテーマのうちではあったので、そこは最終的に「かわいい寄り」におさめていきました。どうですか、カエルが苦手な人から見て。

──いや、先生の描く女の子はかわいいですよ!

五十嵐 そういっていただけるようにがんばって描いてます(笑)。

──以前、なにかのインタビューで「かわいい子を出さないと読んでもらえない」とおっしゃってましたね。

五十嵐 それは本当にそうです。私の描きたい世界観は、そのままだとあんまり読んでもらえなさそうだな、というのは自分でもかなり気にしていたので、せめてかわいい女の子を出そう、と思っています。体調が悪い時なんか、自分でも自分のマンガを読み返せないんですよ。疲れちゃうので(笑)。もともと自分のマンガを読み返す時は、悪いところばかり目についちゃうので、あんまり得意ではないんです。ただ、もうちょっと気楽に読めるような要素も欲しいな、とは考えています。

──では『ディザインズ』は、「五十嵐作品の入門書」にうってつけですね。

五十嵐 今のところは、そうかもしれませんね。

  • 注1 アニミズム 自動植物のみならず無生物にもそれ自身の霊魂(アニマ)が宿っており、諸現象はその働きによるとする世界観。 英国の人類学者タイラーは、これを宗教の原初的形態と考えた。

単行本情報

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