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もうすぐホーリーナイト! クリスマスは「黒いダイヤモンドの塔」を見にいくのはいかが? 寒い夜に読みたい元気のGマンガ特集 【週刊「このマンガ」B級ニュース】

2015/12/22


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「静岡の動物園が大量の“G”を展示!?」について。


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『ザ・ゴキブリ』
東宝 ¥4,500+税

ゴキブリ2000匹を、ケースなしで展示ッ!?

そんな暴挙(!?)に踏み切ったのは、静岡県河津町のは虫類専門動物園「iZoo」
同園では、なんと2000匹のゴキブリが巣くう「ゴキブリの塔」を展示しているから驚きだ。しかも「ゴキブリの塔」はケースに覆われてないのである!

そもそもこの「iZoo」には、は虫類のエサとしてバックヤードにゴキブリが常備されており、そこから今回の展示を思いついたらしい。
「ゴキブリの塔」はゴキブリにとって快適な作りとなっているため、外に逃げ出すことはないという。

そうはいっても、大量のゴキブリがカサカサ音を立てて這いまわるさまは、「G嫌い」にとって阿鼻叫喚ものである。
ケースなしは、そういった恐怖心や嫌悪感を喚起させる意図もあるのだろう。

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『テラフォーマーズ』第1巻
貴家悠(作) 橘賢一(画) 集英社 ¥514+税
(2012年4月19日発売)

ゴキブリが出てくるマンガといえば、もちろん『テラフォーマーズ』(貴家悠・作 橘賢一・画)だ。

火星で人型に進化したゴキブリ「テラフォーマー」と人類がし烈な戦いを繰りひろげるアクションSF作品で、2016年には実写映画公開アニメ放映(2期)が決定している。
かつて『このマンガがすごい!2013』オトコ編で第1位を獲得した際には、担当編集氏が「『TIGER & BUNNY』(西田征史・作 桂正和・画)目当てで『ミラクルジャンプ』を買っていた女子から大ブーイングを受けた(もともと『テラフォーマーズ』は「ミラクルジャンプ」で掲載。のち「ヤングジャンプ」に移籍)」、「ページに触れるのも嫌なので『テラフォーマーズ』のページだけホッチキスで綴じている、と女性から投書があった」と嘆いていたのが印象的だ。

ゴキブリへの嫌悪感をそのまま敵役(テラフォーマー)への憎悪へと転化しているわけで、その意図はバッチリ成功していたわけである。


さて、ゴキブリが出てくるマンガは、なにも『テラフォーマーズ』の専売特許ではない。誰もが生理的な嫌悪感を抱くにもかかわらず、ゴキブリはさまざまなマンガに顔を出している。
ゴキブリマンガを1作品見かけたら、30作品はあると思ったほうがいいだろう。

そんなわけで今回は「ゴキブリが出てくるマンガ」特集だ。
じょうじ、じょうじ!


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『MF文庫 ワンダービット』第1巻
島本和彦 メディアファクトリー ¥667+税
(2007年8月発売)

『テラフォーマーズ』とは反対に、ゴキブリの能力を正義に用いるのが島本和彦『コックローチマン』(『ワンダービット』収録)だ。

遠赤外線のサウナでゴキブリと合体した主人公タケシバヒロシは、ゴキブリの超能力を身につけたコックローチマンとなってしまったのである! 
クローネンバーグの名作恐怖映画『ザ・フライ』を思い起こさせるような展開でありながら、特殊能力を身につけたらとりあえず正義のヒーローになろうとするあたりは、さすが島本マンガといえるだろう。

コックローチマンの能力は、飛行、優れた動体視力、スピード、そして「ゴキブリを手でつぶしても気持ち悪くない力」。
とくに最後の能力は、絶妙にうらやましいんだか、うらやましくないんだかわからないところがステキだ。

なお、コックローチマンの外見は、どう見ても特撮ヒーローものに出てくる怪人そのもの。いま『仮面ライダーゴースト』で怪人のデザインを担当している島本先生のことだから、眼魔アサルトとゴキブリホイホイが融合したら、もしかしたらコックローチ眼魔が誕生するかもしれない!?


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『ごきチャ』第1巻
るい・たまち 芳文社 ¥819+税
(2012年7月26日発売)

ゴキブリをかわいらしく萌え擬人化したのは、るい・たまち『ごきチャ』である。

主人公・ごきチャは、「ゴキブリがいない」とうわさの北海道に引っ越して、人間と仲良くなろうとする。
擬人化して萌えキャラになっても、ゴキブリはゴキブリ。人間に追われ、忌み嫌われるのだが、それでも人間と仲良くなろうとする姿が、次第にいじらしく思えてくる。

横髪を頬や輪郭に沿って長く伸ばす「触覚ヘア」は、小顔に見える効果があるためAKBなどの女性アイドルのあいだで流行しているが、ゴキブリのフォルムから「黒髪」+「触覚ヘア」という萌え要素を抽出するあたりは、さすがである。


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『7SEEDS』第1巻
田村由美 小学館 ¥400+税
(2002年3月26日発売)

話を「ゴキブリの恐怖」に戻すと、田村由美『7SEEDS』も忘れられない。

冷凍保存によって未来に送られた主人公たちが目を覚ますと、そこは洋上で難破中の船のなかであった。
やがてたどりつく島では、ヒルや凶暴なリス、さらには真っ白なゴキブリの大群に出くわす。ここが「普通の島」ではない、「普通の世界」ではないことを端的に示す象徴として、白いゴキブリが印象的に用いられているわけである。

ザザザザザと音を立てて白いゴキブリが這いまわるシーンは、それだけで終末感を醸し出している。目を覚ましたらバカしかいない世界になっていた映画『26世紀青年』と比べると、なんと恐ろしい未来か!

『7SEEDS』しかり『テラフォーマーズ』しかり、どうもSFとゴキブリは相性がいいようだ。
われわれはゴキブリに恐怖や嫌悪感を抱くと同時に、未来の世界でもゴキブリはしぶとく生きていて、あいかわらず恐怖や嫌悪の対象であり続けることを、頭のどこかで覚悟しているのかもしれない。


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『火の鳥9 生命・異形編』
手塚治虫 小学館クリエイティブ ¥1,700+税
(2014年3月24日発売)

SFとゴキブリのマリアージュといえば、手塚治虫『火の鳥』に尽きる。

『生命編』では、殺人番組を考案したテレビ・プロデューサー青居は、やがて自身が殺人番組でターゲットにされてしまう。
逃亡中の青居はジュネという少女にかくまわれるのだが、ジュネの祖母は長生きをするために身体を少しずつ改造し、ついには全身ロボットになったサイボーグである。

寝たきりの祖母の口からゴキブリが侵入し、脳髄を食い破ろうとするくだりは、いろいろな恐怖がないまぜになって、なかなか感情を言い表すことができないほどだ。


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『火の鳥10 太陽編』上巻
手塚治虫 小学館クリエイティブ ¥1,700+税
(2014年4月24日発売)

『太陽編』では、2009年の日本(作品初出は1986年なので、2009年は「未来」)は宗教団体「光」一族によって支配されている。
「光」によって地下に追いやられた者たちは「シャドー」と呼ばれ、そこに生活圏を築き、テロリスト化して「光」の転覆を画策する。

フリッツ・ラングによる1927年の映画『メトロポリス』以来、SFでは繰り返し語られてきた題材(近年ではニール・ブロムカンプの『エリジウム』など)であり、手塚も何度か手がけてきたが、それが7世紀日本と交互に描かれることで「太陽編」は独特なテーマと世界観を生み出しているのだ。 「シャドー」の一員である主人公のスグルは、5ブロック共済マーケットで無菌ネズミと油漬ゴキブリを夕食に購入する。「シャドー」の劣悪な環境がうかがえるシーンといえるだろう。
なお、ゴキブリは「10ぴき100円」という値段で販売されている。


現在、FAO(国連食糧農業機関)は、やがて来る世界規模での食糧問題の打開策として、「昆虫食」を推奨している。
もしかしたら「シャドー」の食生活のような未来が待っているかもしれないし、そんな未来では政治家が「貧乏人は虫を食え」なんて失言をするのかもしれない。われわれの未来はどうなってしまうのか!

……とまあ、未来の心配はさておき、とりあえずは現在のゴキブリをどうするかのほうが切迫した問題であったりするわけだが、気温5度以下ならゴキブリは生育できなくなるし卵も孵化能力を失うので、これから迎える冬本番、毎日こまめに数時間の換気をすると、夏場のゴキブリ遭遇率はグッと低下します。

この冬は暖かい格好をして、ゴキブリマンガを読みながら、ゴキブリ対策をしてみてはどうでしょう?



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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