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『こち亀』の歴史を1分で振りかえる!! 記念回からみる40年総まとめ【B級ニュース】

2016/09/13


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々、様々なニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「『こち亀』終了のお知らせに日本中が震撼」について。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』
川村泰祐(監督) 香取慎吾、香里奈ほか(出演) TCエンタテインメント ¥2,800+税
(2012年2月8日発売)

先週、今年のマンガ業界最大のニュースが発表された。

集英社「週刊少年ジャンプ」で連載中の秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が連載を終了することになったのである。

最終回は9月17日発売の同誌42号に掲載され、同じ日にコミックス最終200巻が発売される予定だ。
これは「もっとも発行巻数が多い単一マンガシリーズ」として、ギネス世界記録に認定されることになった。

1976年42号に開始した『こち亀』は、40年の長きに渡って一度も休載することなくノンストップで連載を続けてきた。日本中で知らない者は誰もいないというほどの、まさしく国民的マンガ作品といえるだろう。
現在、集英社が運営する公式サイト「こちら葛飾区亀有公園前派出所.com」では、「40周年・200巻」を記念して、様々な企画を催し、お祝いムードを盛り上げている。

では、30周年とか20周年とか、過去の記念回では何か特別なことを行ってきたのだろうか?
最終回を直前に控えたいま、『こち亀』のアニバーサリー回をひもといていきたい。

今回は「過去のこち亀記念回」特集である。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 第155巻
秋本治 集英社 ¥390+税
(2007年6月4日発売)

30周年記念は「復活を希望するキャラクター大大発表会!!の巻」と「100人両さん大暴れ!!の巻」が2本立てで掲載された(2006年42号、155巻収録)。
前者は巻頭カラーで「復活希望キャラ」の読者投票の結果が発表された。
栄えある第一位に輝いたのは――ここでは伏せるとして――、オールドファンなら納得の結果ではないだろうか。

この2006年42号では、同誌掲載の全作品に両さんが登場する企画も開催された。
『ONE PIECE』『銀魂』『テニスの王子様』などの背景や群衆のなかに両さんがまぎれこんでいるという、雑誌一冊丸ごとを使って「両さんを探せ」をやったわけだ。
まさしく記念回にふさわしい、大々的な企画である。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 第101巻
秋本治 集英社 ¥390+税
(1997年3 月4日発売)

その10年前の20周年の回は「佃島本祭り取材!の巻」(1996年42号、101巻収録)。警官と漫画家の二足のわらじをはく乙姫菜々が、取材のために佃島祭りを訪れ、それを両さんがアテンドする内容だ。
20周年のアニバーサリー要素は皆無の、通常運転の回といえるだろう。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 第52巻
秋本治 集英社 ¥390+税
(1988年6月10日発売)

さらに10年さかのぼって10周年の回は「黄金の鯱伝説!!の巻(前編)」(1986年42号、52巻収録)。

高尾にあるという「幻城」の天守閣の、雌雄一対の黄金の鯱を盗むために、両さんがインディ・ジョーンズさながらの冒険を繰り広げる。
やはりアニバーサリー感のない通常回だが、一話完結を基本とする『こち亀』には珍しく、2週連続の前後編構成になっているのが特徴的だ。

このように『こち亀』は、「週刊少年ジャンプ」本誌では企画を催すことはあっても、本編では30周年のとき以外は目立ったイベントをしていない。
どちらかというと、連載回数のほうが特別感のあるエピソードになる傾向が強い。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 第102巻
秋本治 集英社 ¥390+税
(1997年6月4日発売)

たとえば1000話目「古都の走馬燈の巻」(1996年52号、102巻収録)は、両さんの過去話だ。旅芸人一座の娘である橘琴音との淡い恋愛エピソードであり、「浅草七ッ星物語の巻」(1991年42号、76巻収録)の続編となっている。
この1000話が掲載されたときは、本誌で人気エピソード投票が行われた。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第11巻
秋本治 集英社 ¥390+税
(1980年2月発売)

もっとも変革のあった記念回は、第100話目ではないだろうか。

1978年41号に掲載された第100話「麗子巡査登場の巻」では、のちにレギュラーメンバーとなる秋本麗子が初登場する。いきなりミニパトで派出所につっこんでくるわ、ワガママぶりを発揮するわで、強烈なインパクトを残している。

じつは麗子は、コミックス4巻(初版以外)収録の「野球狂の男の巻」にも登場するが、こちらは描きおろしの再録版。また、コミックス7巻のカバー、8巻の背表紙にも麗子は登場しているので勘違いしやすいが、時系列的な「初出」は第100話目である。
ちなみに「週刊少年ジャンプ」連載時は、この100話目から著者が「山止たつひこ」から「秋本治」にペンネームを変更。まさに記念すべき回なのだ。


いよいよ『こち亀』の連載は終了するが、はたしてそれが作品自体の終焉を意味するのだろうか。たとえば年に数回は、読み切りで新作が掲載されたりするのを、ファンとしては熱望する。
そのときは、やっぱりアニバーサリー感はゼロで、通常運転の内容になる……と予想しておきたい。

なお、最終話が掲載される今年の42号の発売日(9月17日)は土曜日。
9月19日月曜日が敬老の日で祝日となっているため、通常の週とは発売日が異なるので注意が必要だ。
「最終回だから記念に買っておこう」という読者も多いので、売り切れに注意しよう!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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