昔から心理学には「吊り橋効果」という理論があり、高い吊り橋の上でアプローチしたほうが平地で普通にアプローチするよりも成功率が高いといわれています。
吊り橋の高さゆえに胸がドキドキしているのを脳が恋愛感情だと誤認してしまうからとか、なんとか。
つまりこの理論に従うのであれば、普通の恋愛マンガよりもグロいシーンが多いマンガの恋愛シーンのほうがより胸のトキメキが増すわけですな。
この思いつき完璧な理論をたしかめるために、今回はグロい描写と恋愛描写が同居しているマンガをランキング形式でご紹介。
純愛に不倫にハーレムに百合と、様々な愛のかたちが盛りだくさん。
そこで今回は、「このマンガがすごい!」編集部が独断と偏見で選んだ、「グロテスクな恋愛に心が震える――"グロ恋"マンガ」を発表したいと思いま~す!
※血とか虫とかゾンビとか無理なんですって方は、ブラウザバック推奨です!
■1位 恋=殺意! 想いが届けば即殺害な究極の恋愛劇登場!
『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』 要マジュロ(原作) 榊原宗々(漫画)
『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』 第1巻 講談社
要マジュロ(原作) 榊原宗々(漫画)
文豪・夏目漱石が『I love you』という言葉をどう日本語で表現するか考えて、「月が綺麗ですね」と訳したというエピソード(異説あり)は有名ですが、そんな日本語の美しさと、よりにもよって「死ね」というド直球な2文字を組みあわせてしまった本作。
なぜこんなことになってしまったかというと、高校生の神城卓はある不気味な男と接触した翌日に、好きな人に対して衝動的に殺意があふれる体質になってしまったから。しかもちょうどその日が、前から好きだった幼なじみの花園魅香に告白しようとした日だったから、さあたいへん。
卓は屋上に呼び出した魅香に向かって「俺は君を殺したい」と大胆な告白を実行!
その場はなんとか抑えられたものの、そのあとも尽きることなく湧き出す魅香への殺意。理屈ではダメだとわかっていても、本能的なものだから抑えることはできない。そこで卓は自分が身を引いて彼女に近づかないことで事態の解決を図るが、困ったことに魅香はモテモテだし、卓と同じ症状の人間が増加中で……。
魅香といっしょにいるだけで彼女を殺す鮮烈なイメージが次々に浮かぶようになった卓の日常はたいへんスリリング。それだけでも辛いのに彼女を狙って殺そうとする男はあとを絶たず、卓は彼女の側で殺意を抑えながらも、彼らを撃退しなければならない。はたして卓はあらゆる魔の手から彼女を守って、きっちり自らの手で彼女を殺……じゃなくて最後まで彼女を殺すことなく、その歪んでしまった愛を貫くことができるのか?
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■2位 ついにカネキに運命の瞬間が……!
『東京喰種 トーキョーグール』 石田スイ
『東京喰種 トーキョーグール』 第1巻
石田スイ 集英社
映画化やアニメ化でも大ヒットしておなじみの方も多いだろう、『東京喰種 トーキョーグール』。
人間を襲い喰らう怪人「喰種(グール)」が社会に紛れこんでいる世界を舞台に、喰種たちと人間の戦いを描き続ける本作は、スタイリッシュな絵柄やド派手な戦闘描写に目を奪われて見落としがちだが、冷静に振り返ればグロいシーンのオンパレードだったりする。一度戦闘が始まれば、平気で手足は千切れるし、当たり前に目をエグるし、喰種同士は共食いもするわと、とことんえげつない。もともとは普通の人間だったのに、喰種の臓器を移植されたことがきっかけで主人公のカネキはこの壮絶な戦いに巻きこまれ続ける。ほかの喰種に食べられそうになったり、拉致されて拷問されたり、記憶を失ったりとその境遇はただただ悲惨。
そんな状況下で愛だの恋だのぬかしている余裕などなかったカネキだったが、『東京喰種 トーキョーグール:re』の最新の展開では、そんな彼とある女性の関係に大きな進展が! 単行本になっていないからくわしくはいえないけど、まさか1話丸々使うとは! おめでとうカネキくん! この作品の場合、このあとに待ち受ける、よりひどい展開の前振りのような気もするけど、今はその幸せをかみしめてほしい……。
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■3位 一目でヤバさがわかる、保菌者のインパクト!
『インフェクション』 及川徹
『インフェクション』 第1巻
及川徹 講談社
幼なじみとの煮えきらない関係に業を煮やした友人たちによって、倉庫に閉じこめられた高校生・天宮晴輝と、偶然巻きこまれた磯波きらら。なぜかそのまま3日間も閉じこめられっきりで、ようやく抜け道を見つけ出した晴輝たちだが、3日ぶりの外界は”保菌者”と呼ばれる生きる屍であふれ返っていた!
パンデミックホラーは数あれど初見時の“保菌者”のインパクトがすごすぎるっていうか、いくらなんでもウジが湧きすぎではないでしょうか! これだけでもインパクトが強いのに、話が進むにつれて新型の保菌者も出てきて、こっちもかなりグロい。
そんな生き物が大量に跋扈(ばっこ)する地獄と化した仙台だが、そのなかで一服の清涼剤となるのが、晴輝に思いを寄せる2人の少女だ。
いっしょに閉じ込められて以降、行動をともにしている磯波きららと、同級生の木皿儀千佳(きさらぎ・ちか)の存在だ。こんな時に支えてくれる女の子がいるってだけでもありがたいのに、空き缶に放尿するシーンがあったり、いっしょにお風呂のシーンがあったりと、毎巻サービスカットも充実している。グロからエロへのいろんな意味で落差が激しいジェットコースター的展開をぜひ体験してもらいたい。