業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
今回の「オンナ編」第1位は、人気漫画家の衝撃のカミングアウト!?
いわれたこと・やらなきゃいけないことをすぐに忘れてしまい、夢中になりすぎて人の話を聞かず、思いつきで行動してしまい、ついには好きな人にも引かれてしまい……「自分」を持てあましてきた漫画家が、そんな半生と病を、赤裸々につづったエッセイコミックが注目を集めました!
さらにランクインした作品には、ある日公園のなか“クマさん”(女装&ゲイ)と出会ったマンガや、“神霊眼”をもった少年vs悪魔憑きの少年の壮大なバトルファンタジー、さらには大事なオッパイを●●しちゃう女子高生たち……などなど、どれもこれもクセものぞろいの作品ばかり。
気になる今月のランキングを、アンケート回答者のオススメポイントとあわせてチェック!!
(2017年5月1日~5月31日発売作品を集計)
第1位(158ポイント)
『史群アル仙のメンタルチップス~不安障害とADHDの歩き方~』 史群アル仙
『史群アル仙のメンタルチップス~不安障害とADHDの歩き方~』
史群アル仙 秋田書店
不安障害とADHDを抱える、著者による自身の過去から現在に至る体験をつづったエッセイマンガ。 学校生活ではまわりにうまく合わせることができず、進学をあきらめ、バイトを始めれば、そわそわして凡ミスを繰りかえして怒られてばかり。念願のひとり暮らしを開始したはずがいつの間にか、引きこもりに……。さらにその後も自殺未遂に精神病棟入院……。人生を超ハードモードで送る著者の漫画家になるまでの道のりがみっちり書かれた本作。
内容自体はかなり重いのに、昭和風のタッチで絵柄がかわいらしくサクサク読み進められ、常に生きづらさを抱えこむ著者が立ち直っていく過程は、ストーリーととしても、もちろんおもしろい。
ノンフィクションマンガとして、見るべきところの多い作品なので「自分とは無関係」そう思わずに、ぜひ一読してほしい。
オススメボイス!
■壮絶極まりない自身の過去を淡々と描き出す語り口は、吾妻ひでお『疾走日記』を。そのどん底から自身の問題と徹底的に向き合うことで光を見出してゆくさまは、永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』にも通じるすごみあり。ADHDとか関係なく、自分を苦しめているものの正体は、よくも悪くもだれのものでもない「自分だけの個性」でもあるのだと気づけば、いっしょに歩いていく方法もきっと見えてくるはずだ(井口啓子/文化系ライター)
■10代・20代のころ太宰治の『人間失格』や山田花子のマンガを読んだ時のような、鋭敏で鬱然とした感情とシンクロしそうになった。けれど、この作品は前向きな印象で終わるし、私がすでに若くないせいもあってか、かつてほど暗黒面にハマっていくことはなかった。むしろ、「これからもあきらめずこんな自分とつきあっていこう!」という気力が生じた。「人生、そんな甘くないで…」と語るミミズク(?)のようなキャラが妙に印象的。主人公と愛犬・アキの別れには目がうるんだ(稲垣高広/ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人)
■流行のテーマではあるものの、この作風だと、「苦労している人の頭のなか」がよくわかる感じ。日常生活のこまごましたことが苦手な人に、おすすめ(和智永妙/ライターたまに編集)
第2位(124ポイント)
『ストレンジ』 つゆきゆるこ
『ストレンジ』
つゆきゆるこ リイド社
塾からの帰り道、ふと泣いている女性を見かけた主人公。落ちているハイヒールを拾い、渡そうとした時、そこにはおよそ女性には見えない、体の大きなゲイの“クマさん”がいたのだ……。
「忘れられない人生最高の出会い――」
そのキャッチコピーにぴったりな、ある2組の男性たちの物語がオムニバスで収録された本作。本作がデビュー作という著者の繊細だけれど温かみと柔らかさのあるタッチは、ストーリーをさらに魅力的にさせている。人と人との“出会い”、そして“縁”のあたたかさを感じさせる一冊!
オススメボイス!
■リイド社より発行。とにかく内容がすばらしい!! 男性の方にもぜひぜひ読んでほしい作品です(旭屋書店なんばCITY店 平田/旭屋書店なんばCITY店 コミック担当)
■ストーリーを読ませる手腕、感情の描き方が秀逸。男女どちらにもオススメ(太田和成/TSUTAYA BOOK STORE 五反田店 コミック担当)
■だれかがだれかを大切に想う気持ちが、大切に、丁寧に描かれている。BLにカテゴライズされて、売場を限定されてしまうともったいない。「今月」というより「今年」を代表する、広く読まれてほしいなと思った一冊(竹村真志/三省堂書店 神保町本店・コミック担当)
第3位(82ポイント)
『少年魔法士』 なるしまゆり
『少年魔法士』
なるしまゆり 新書館
“神霊眼”と呼ばれる特殊な能力を持つ主人公の勇吹と、悪魔憑きの少年・カルノを中心として展開されるダーク・ファンタジー。天使や悪魔といった心霊生物や魔法が実在する世界で、異能をもって生まれた2人は、壮絶な闘いのなかに身を投じ、やがて、決着をつける時がきた――!!
1995年から「ウィングス」で続いていた連載が堂々の完結。約20年の時を経て愛され続け、マンガファンから熱い支持を集めた。全六章で展開した本作だが、世界観だけでなく、著者の巧みな心理描写とキャラクター造詣も注目を集めた名作だ。今が一気読みのチャンスかも。
オススメボイス!
■もう発売してくれただけでも感動だし、それが完結したっていうことに感激だし、20年間もこんなにすごい話を描いてきたことへの尊敬がやまないし、なんかもういろんなことが胸を締めつけてきて読了時の放心度合いが半端なかったです。まずは完結おめでとうございます。私はこのお話と出会えて、人はひとりでは生きられないことを学びました。ありがとうございました(りる/感想系ブログ『空夢ノート+』管理人)
■20年続いたこの物語の完結巻。掲載形式が独特だったうえに超長期連載であったが、テーマがきれいに収束していった。話の軸がずどんと立てられていて、すべてはそれを中心にまわっていたのだとあらためて思い出される(raven/ディレッタント)