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『ウルトラ怪獣幻画館』 実相寺昭雄 【日刊マンガガイド】

2017/05/07


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ウルトラ怪獣幻画館』

  
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『ウルトラ怪獣幻画館』
実相寺昭雄 筑摩書房 ¥900+税
(2017年3月8日発売)


数多くのエキセントリックな映像を世に送り出したことで、ウルトラシリーズ屈指の個性派監督として知られる実相寺昭雄。
その名前を知らない人でも、ちゃぶ台の前であぐらをかくメトロン星人や、慟哭(どうこく)しながらウルトラマンに敗れるジャミラなど、彼によって演出された映像を一度も観たことのない人は少ないだろう。

このたび、2006年に没した実相寺監督の絵を1冊にまとめた画集『ウルトラ怪獣幻画館』が発売された。
メインは、表紙に使用されている工業地帯に佇むメトロン星人といった怪獣画。味のある素朴なタッチがほのぼのとした雰囲気を漂わせる絵もさることながら、各イラストに添えられた著者の肉筆の短文にも注目していただきたい。
それぞれの短文は、実相寺監督が手がけたエピソードで描かれた、人間社会へと迷いこんだ怪獣たちへの同情的な目線を感じさせるものから、“ガマクジラに真珠”といったユーモアあふれるものまで多種多様で、著者の詩的な感性を堪能することができる。

怪獣画とともに、旧円谷プロ社屋やロケハン風景などといった懐かしさを感じさせる世田谷の情景を描いた絵も収録されており、ウルトラシリーズとともに人生を歩むなかで、彼がその目で捉えてきたものたちを一望するにはうってつけの1冊。
コンパクトな文庫サイズを活かし、本作を眺めながらシリーズゆかりのロケ地巡りをすることで、懐かしき実相寺ワールドに浸ってみるのも一興だ。



<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton

単行本情報

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