『ちびまる子ちゃん』第9巻
さくらももこ 集英社 \390+税
ガンバ大阪は2008年にAFCチャンピオンズリーグに優勝しアジア王者になったものの、2012年シーズンには守備が崩壊。最終成績17位でJ2へと降格してしまった。そのガンバ大阪を1年でJ1に復帰させたのが長谷川健太監督である。復帰初年度の今年は、J1リーグ戦で5位(23節終了時点)、ナビスコ杯(ベスト4)と天皇杯(ベスト8)ともに9月25日時点で勝ち残っており、長谷川監督の手腕は高く評価されている。今日9月25日は、そんな長谷川健太監督の誕生日だ。
さて、長谷川監督といえば、漫画家・さくらももこと小学校の同級生であったことは知る人ぞ知る事実。りぼんマスコットコミックス版『ちびまる子ちゃん』第9巻には「その59『サッカー少年ケンタ』の巻」という、幼少時の長谷川健太をモデルにしたエピソードが収録されている。
同級生(はまじやブー太郎など)たちが練習のキツさに耐えかねてサッカー部を辞めていくなか、ケンタ少年は大好きなサッカーに明け暮れ、「日本一のサッカー選手」になるため努力を惜しまない。
のちには、静岡県立清水東高校時代に全国優勝を成しとげ、筑波大学を経て入団した日産自動車サッカー部(現在の横浜・F・マリノス)では2年連続で三冠(リーグ戦、天皇杯、リーグ杯)を達成。Jリーグが発足してからは清水FC(現在の清水エスパルス)に移籍した。
1991年の2月にJリーグ加盟10クラブが発表され、7月にはリーグ発足が正式発表。前述のケンタ少年のエピソードが「りぼん」に掲載されたのは1991年8月号なので、タイミングを合わせたのだろう。それは、さくらももこの同級生としてのエールだったのかもしれない。このあと長谷川健太はプロとして活躍し、日本代表では「ドーハの悲劇」を経験する。
監督として清水エスパルスを率いた6シーズン(2005~2010)ではタイトルを獲得できなかったが、いま長谷川監督は新天地・大阪で「日本一」をめざしている。かつてのケンタ少年の夢は、まだ続いているのだ。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
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