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8月9日は「システィーナ礼拝堂が開場した日」 『チェーザレ 破壊の創造者』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/08/09


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

8月9日はシスティーナ礼拝堂が開場した日。本日読むべきマンガは……。


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『チェーザレ 破壊の創造者』 第2巻
惣領冬実(著) 原基晶(監修) 講談社 ¥752+税


システィーナ礼拝堂はバチカン市国にある礼拝堂である。
ローマ・カトリックの教皇を選出するコンクラーベが開催される場所として有名で、2013年に現在のフランシスコ教皇が選ばれた際にも脚光を浴びた。
システィーナ礼拝堂の所在地はサン・ピエトロ大聖堂の北隣に位置しており、1473年から1481年にかけて、ジョヴァンニ・デ・ドリッチの指揮のもと建設された。そして1483年8月9日(ユリウス暦)に開場し、この日に最初のミサが執り行われた。
きょう8月9日は「システィーナ礼拝堂が開場した日」である。

システィーナ礼拝堂が作中に登場する作品といえば『チェーザレ』(惣領冬実)だ。
本作の主人公となるチェーザレ・ボルジアは、15世紀末から16世紀初頭にかけての、イタリア・ルネサンス期における政治家である。チェーザレはロドリーゴ・ボルジア(のちの教皇アレクサンデル6世)の子として生まれ、わずか18歳にして枢機卿にまで上り詰めた俊才だ。
日本における織田信長のような存在と位置づけられることが多く、かのマキャヴェリが『君主論』のなかで、マキャヴェリズムの理想的な体現者としている。
毀誉褒貶は激しいものの、イタリア再統一を目指した英雄と目されることも多い。
余談だが、全世界で累計3700万本以上の売り上げを記録した大人気アクションゲーム『アサシンクリード』シリーズでは、シリーズ3作目となる『アサシンクリード ブラザーフッド』では敵役として大々的にフィーチャーされている。

本作『チェーザレ』は、ロレンツォ・デ・メディチに認められてサピエンツァ大学のピサ校に入学した青年アンジェロ・ダ・カノッサ(マンガオリジナルの人物)の目を通じて、若き日のチェーザレの姿が描かれていく。
チェーザレの父・ロドリーゴは次期ローマ教皇の座を争っており、チェーザレはそれを補佐するために暗躍する。
第2巻ではレオナルド・ダ・ヴィンチやコロンブスといった同時代人たちも登場し、またカラーページでシスティーナ礼拝堂が描かれている。
ちなみに、システィーナ礼拝堂といえば、ミケランジェロによる天井画『最後の審判』が有名だが、ミケランジェロが教皇ユリウス2世から天井画を描くように命じられたのは1508年のこと。
『チェーザレ』第2巻当時には、まだこのフレスコ画は存在しない。そのため第2巻のカラーページでは、天井画が描かれる以前の復元図が出てくる。

現在『チェーザレ』は不定期集中連載中(掲載誌は講談社「モーニング」)だが、綿密な時代考証に裏づけられた傑作である。
首を長くして、一生の友として続きを待ちたい作品だ。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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