複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。
今回は、「『HUNTER×HUNTER』、待望の連載再開」について。
『HUNTER×HUNTER』第32巻
冨樫義博 集英社 ¥400+税
(2012年12月28日発売)
『HUNTER×HUNTER』が帰ってきたッ!
先週発売された「週刊少年ジャンプ」20号(4月18日発売)には、『HUNTER×HUNTER』が掲載されたのである。
これを事件と言わずして何を事件と言おうかッ!
『HUNTER×HUNTER』の最新話が掲載されるのは、じつに1年8カ月ぶり。
暗黒大陸編の最新話「No.350 王子」が掲載されると、以前どおりの濃密な心理戦が繰り広げられた。
巻末の作者コメントから推察するに、作者の冨樫義博はずいぶんと大病を患っていた様子。不安は尽きないものの、今週発売の21号にも最新話が掲載されていたことから、ファンの方々もほっと胸をなで下ろしたことと思う。
まずは「おかえりなさい」といったところではないだろうか。
作品の長期連載化にともなって、なかには諸事情により、休載を余儀なくされるマンガも少なくない。連載再開を心待ちにしている身からすれば、やきもきするところだが、裏を返せばそれだけ多くの読者に待ち望まれているわけだ。
今回は、連載再開が待たれる休載中作品を見ていこう。
『ベルセルク』第37巻
三浦建太郎 白泉社 ¥524+税
(2013年3月発売)
まずは今年7月にはテレビアニメの放送が予定されている『ベルセルク』。
もともとは1989年に白泉社「月刊アニマルハウス」で不定期連載を開始し、雑誌休刊後は後継誌「ヤングアニマル」で連載を継続してきた。
たびたび休載を繰り返してきており、昨年は2年ぶりに再開して「幻造世界篇」の最新エピソードを連載していたが、12月に「不定期掲載」になることが発表された。
そのとき次回は「2016年夏頃」と告知されていたので、アニメとの連動で再開が期待される。
『よつばと!』第13巻
あずまきよひこ KADOKAWA ¥600+税
(2015年11月27日発売)
昨年11月、およそ2年8カ月ぶりにコミックス最新13巻が発売された『よつばと!』も、不定期連載作品の代表格である。
今年に入ってからは掲載誌「電撃大王」4月号に最新話が掲載されたので「休載」というわけではないものの、13巻発売後に雑誌掲載されたのはこれ1本。
作品の雰囲気と同様、ゆったりとしたマイペースで心待ちする姿勢が読者にも求められる。
なにしろ作中でも、1話が作中時間で1日程度なので、まさにスローライフ・マンガ。
連載開始年が2003年なのに、よつばは一向に年をとらない。読者はめっきり老けてきた。
親戚顔して「よつばちゃん、大きくなったねー」とは、なかなか言えないものである。
『バガボンド』第37巻
吉川英治(作) 井上雄彦(画) 講談社 ¥570+税
(2014年7月23日発売)
近年はアントニオ・ガウディとのコラボや、円空を題材にした著作など、マンガ以外のフィールドでも活躍が目立つ井上雄彦の『バガボンド』の続きを心待ちにしている読者も多いのではないだろうか。
昨年1月におよそ1年ぶりに連載を再開し、講談社「モーニング」に毎月第3木曜に掲載されるようになったものの、現在は再度休載中。
武蔵は小次郎のいる小倉へと旅立っているが、長い旅になりそうだ。
ちなみに「モーニング」では、惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』も不定期の連載。15世紀イタリアを舞台にした歴史マンガであり、『バガボンド』にしろ『チェーザレ』にしろ、リアリティある歴史物を描くには取材や考証がたいへんなのだろう。
『仕掛人 藤枝梅安』第35巻
さいとう・たかを 池波正太郎(案)
粕谷秀夫、北鏡太、會川昇、山田誠二(脚)リイド社 ¥552+税
(2015年1月13日発売)
歴史物で残念な結末を迎えたのが、さいとう・たかを『仕掛人 藤枝梅安』だ。
2015年2月号から休載していたが、掲載誌「コミック乱ツインズ」(リイド社)の今年4月号には「体力の限界により連載終了の決断」とのさいとう・たかをのコメントが掲載され、正式に連載終了が宣言された。
『ゴルゴ13』や『鬼平犯科帳』との同時連載は、今年80歳を迎える御大には大きな負担であることは、想像にかたくない。
しかし15年続いた連載の幕切れとしては、さびしいものとなってしまった。
ほかにも休載中のアレやコレが思い浮かぶだろうけど、『仕掛け人藤枝梅安』のような例も、充分にありうるのだ。
だから休載作品が連載を再開したときは、できれば雑誌で読んでほしい。
いつまでもあると思うな親と休載作品。
今年も母の日が近づいてきました(5月8日)。「この作品の最後を見届けたい!」と思うような作品を贈ってはいかがでしょうか?
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama