『サンライズ ロボット漫画コレクション Vol.1 機動戦士ガンダム』
矢立肇/富野由悠季(作)岡崎優(画) マンガショップ \1,800+税
今の世の中、すっかり『機動戦士ガンダム』は“知ってて当然”という扱い。シャアが赤い機体に乗ってて通常の3倍の動きをすることぐらいは知っていないと、日常の会話に支障をきたすこともあるとかないとか!?
『ガンダム』といえば、何かと作中に出てくる事象以外にも細かい設定が存在するものだが、主人公のアムロ・レイの誕生日は、本日11月4日とされている。
ちなみに、シャア・アズナブルの誕生日は11月17日とされるが、9月27日説もあったりして、やっぱりややこしい奴だ。誕生日が諸説ある理由を詳細に触れるのは、あまりにも話が長くなるので、ここでは割愛!
ということで、アムロの誕生日に紹介するのはもちろん『機動戦士ガンダム』のコミカライズ作品だが、数ある関連作品のなかから、あえて岡崎優版をプッシュしておきたい。
初めて読んだ人は「知ってるガンダムと違う!」と言いたくなること間違いなしの、“伝説”の作品だ。
まず、アムロからしてかなり原典のアニメとは雰囲気が異なる。なんというか、だいたいにおいて乱暴なのである。初めて乗り込んだガンダムでは「ええい このスイッチだ!!」とポチッと一発でザク2機を撃破する華々しすぎるデビューを飾り、命令には「くそっ しょうがねえな」と驚きの対応。
そしてギレン・ザビの演説にブチ切れて、なんと素手でモニターをたたき割るというワイルドな一面を発揮! アニメとは違う意味で「最強の兵」のアムロは必見だ。
さらにそのノリは、アムロのみにとどまらない。モビルスーツをホワイトベースの下敷きにして破壊するブライト、そしてそれを絶賛するレビル将軍などなど、全員が大胆かつ奔放な性格に。
ストーリーも『機動戦士ガンダム』でありながら「いんだよ、細けえことは!」と言わんばかりに、宇宙戦艦が当たり前のように大気圏内を飛行し、水陸両用機のズゴックやゾック(なお、搭乗するのはマ・クベ!)が宇宙で大活躍……と、原典をよく知る人にこそ読んでいただきたい作品。
「こんなコミカライズ、修正してやるー!」と言わず、ぜひ「面倒くさいこと抜き」のガンダムも楽しんでほしい。
もちろんツッコミどころだけでなく、キャラクターの表情や、モビルスーツの躍動感が非常に魅力的であるのも注目すべきところである。
岡崎優版ガンダムは、伊達じゃない!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。