日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ありごけ』
『ありごけ』第1巻
漆原ミチ 小学館 ¥552+税
(2016年1月12日発売)
「ありごけ」とは、旦那がありつつ後家になること=旦那にほっとかれる妻のこと。
子どもからオトナまで、町の女みんなに好意を持たれている金正便利店の金正ミチオは、ある日、結婚したばかりの妻を残して、町をふらっと出ていってしまう。
残された「ありごけ」は彼にかわり、金正便利店の依頼を受けるのだが――。
周囲に陰口を叩かれても「私に見えるところまでがあの人やけん よそで何しようが知らん。」と黙々と仕事をこなし、ひたすら旦那を待ち続ける「ありごけ」は、坊主頭×巨乳のというパンクな出で立ちもあいまって異様かつ一途で揺るぎないがゆえに、惹きつけられずにいられない!
さまざまな依頼者とありごけの交流を描く、一話完結の便利屋稼業物語かと思いきや、中盤からじつは「ありごけ」が事故で過去の記憶を失っていること、旦那の金正ミチオに助けられたことなどが断片的に明かされてゆく。さらには、謎の宗教の存在も暗示され――。
第1巻ラストでは姿を消していた旦那が「ありごけ」のもとに帰ってくるのだが、この金正また、なんともウサンくさい男なわけで……。
2巻以降、物語は意外な方向に大きく動きだしそうな予感大。
おためし第1話で、こんな感じか~とわかった気になっていた人も、要チェックです。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69