日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『刃牙道』
『刃牙道』第9巻
板垣恵介 秋田書店 ¥429+税
(2016年1月8日発売)
主人公・範馬刃牙を筆頭に、三度のメシよりも戦いが大好きな奴らが活躍する『刃牙』シリーズ。
その最新作にして、現代に宮本武蔵がよみがえる衝撃的な展開から始まった『刃牙道』が、早くも第9巻を迎えた。
よみがえった宮本武蔵のすさまじい実力を目の当たりにし、血がたぎる格闘家たち。
だが、あらゆる武術に精通し、実戦における武器の恐ろしさをだれよりも知る本部以蔵(もとべ・いぞう)は、武蔵が武器に頼らぬ周囲の格闘家たちではけっして敵わない次元にいると確信していた。
そんなわけで、本部は『刃牙道』開始当初から「俺が守護(まも)らねばならぬ」と、武蔵に挑もうとする格闘家たちをあらゆる武器で圧倒し、武蔵に挑むことをやめさせようとしてきたが、本作では彼の活動がひとつのクライマックスを迎える。
作中最強人物の範馬勇次郎に、武蔵との対決をやめさせようと説得するのだ。
国家に匹敵する戦闘力を持つ勇次郎に対し、「安心していいんだ 君らの身は俺が守護る」という衝撃的なことを言い放つ本部。
それに対し、生まれてこのかた守護られたことのなかった勇次郎は、涙を流しながら大激怒!
『グラップラー刃牙』から現在までシリーズを読み続けてきた読者にとって、多少突飛な描写は慣れっこなはずだが、このシーンにはだれもが衝撃を受けるはず。
当然、本部の忠告を聞くはずもなく、勇次郎は武蔵が居候している徳川光成の邸宅に侵入。
護衛の加納秀明(久々の登場!)をビビらせつつ武蔵への謁見を果たすのだが……。
チャンピオン」本誌における現在の展開でも、まだまだ絶好調な本部。
山籠りの修行までして彼が挑む「守護る」活動がどのような結末に落ちつくのか、まだまだ目が離せなそうである。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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