『Yの楽園』第1巻
筒井康介(作)高橋直樹(画) 講談社 \607
(2014年6月6日発売)
「ヤンマガ」レーベルに必ず存在する「バカ枠・狂気枠」の、本年度筆頭作品。
密かに恋心を寄せるクラスメイト・元野沙耶たちとの卒業旅行で、18歳のDT・飯尾一也を襲った悲劇。それは、恐怖の奇病「異常性欲症」だった。
この病気にかかった女子はヤリマンとなり、ヤリマンとSEXした男子は頭が爆発してしまう……。
事件の舞台となる地名が「陰茎島」だったり、ナチュラルに「ドブス デブ子」などという名前のキャラクター(どうやら本名らしい)が登場したり、そしてもちろんSEXしたりと、登場人物たちの頭よりも先に、読んでいる読者の頭が爆発しそうになる、悪ふざけの極地のような設定。
しかし、基本ストーリーは極めて大マジメなサスペンスであり、あこがれの女子がじつはヤリマンだったという思春期特有の痛々しさもたっぷり。そのアンバランスな読後感は「異形」と呼ぶほかない。
とりあえず、緊迫したシーンで放たれる「ヤリマンがしゃべった!?」というフレーズだけでも、一読の価値あり。意味はわからないが、形容しがたい破壊力に満ちている!
<文・小林聖>
主にマンガについての記事などを手がけるフリーライター。マンガ情報サイト・ネルヤ主催。年間だいたい1000冊くらいマンガを買ってます。
「nelja」