5月1日から5月31日のあいだに発売されたマンガ単行本のラインナップより、各界で活躍する多数のマンガ愛読者が「今月のイチオシ!」としてオススメ作品を3本セレクト! それを編集部が集計し、ランキング形式で大発表します!
今月の「オトコ編」第1位は、今までにない(?)意外なタイプの作品が……! さらに、異色エッセイマンガやネットで話題の下ネタトークJKマンガなど、多彩な作品が次々と登場。見逃せません!
第1位(194ポイント)
『娘の家出』 志村貴子
『娘の家出』
志村貴子 集英社
主人公のまゆこは、親が離婚した女子高校生。共通の家庭事情を抱えたクラスの仲良し4人組「チーム離婚」での高校生活、再婚した母、「彼氏」と暮らす父……複雑に入り組んだ人間関係のなか、まゆこが家出をしたことで、物語は動き出す。
青年誌「ジャンプ改」連載の志村貴子最新作は、オムニバス形式で少女の思春期を描いた作品。各エピソードでスポットが当たるキャラクターが変わり、それぞれの想いがクロスオーバーする様子が丁寧に描写されています。
オススメボイス!
■ありそうな思春期のイライラを描きながら、手ざわりがあったかい。ブレない作風!(和智永妙/編集 兼 ライター)
■待望の新作! 独特の間と空気と絵柄で、人によっては重々しくなるテーマがさらりとさわやかに、コミカルに描かれていています(宮川元良/「恵文社」通販部 部長)
■デブ専の女子高生、離婚後に彼氏と暮らすゲイの父……設定だけ見れば「フツー」じゃない、マイノリティーの人々を愛おしく描く志村先生節は健在(梅本ゆうこ/ブログ「マンガ食堂」管理人)
■視点が変われば前回までのキャラの印象も違ってくる、オムニバスの醍醐味が味わえます(くまざわ書店 コミックランドビーワン八王子店/八王子市書店)
■思春期の女子の恋と性にグイグイと食い込む『娘の家出』。さすがの描写力で、2巻以降も期待が膨らむ(小田真琴/女子マンガ研究家)
■マンガという表現媒体ならではの間とリズムが心地よい作品(浜波孝至/「BOOKSなかだ」魚津店 営業担当)
■さすが志村先生、10代の女の子の揺れ動く心の描き方がすばらしい!(三省堂書店 八尾美映子/「三省堂書店」神保町本店 コミック担当)
■思春期の少女たちの心理描写が美しくも力強く描かれています。今月一番のオススメです!(吉村/「芳林堂書店」高田馬場店)
■太って志村女子にモテるんなら太ります(断言)。冗談はさておき、このご時世に連作ショートショートの体裁で青年誌連載という偉業に敬意を評して(久芳俊夫/"MANGART BEAMS T"ディレクター)
第2位(124ポイント)
『BLACK LAGOON』 広江礼威
『BLACK LAGOON』
広江礼威 小学館
南アジアにある架空の犯罪都市「ロアナプラ」が舞台のクライムアクション。
日本人の商社マン・岡島緑郎(ロック)は、違法な運び屋・ラグーン商会に重要な機密を記録したディスクごと拉致される。行きがかり上、彼らの仲間に引き入れられたロックは……。
長期休載中だった現行エピソード「The Wired Red Wild Card」が、昨年より再開! 待望の単行本発売となり、長年のファンを中心に、多くの票を集めました。
オススメボイス!
■祝! 4年半振りの新刊&新章開始! やっぱりケレン味がよいし、女体のエロさもたまらない!(フラン/ブログ「フラン☆Skin」管理人)
■全編での丁々発止の掛け合いがやはりいいなと。この雰囲気だけでも楽しめます(もみちゃん/大手インターネットカフェ コミック担当)
■悪徳の街ロアナプラでのレヴィやロックの生き様に、再びまみえることができるとは!(廣澤吉泰/ミステリコミック研究家)
■待望の、ホントに待望の新刊。前巻までの重苦しい雰囲気から一転してのコメディタッチがまた軽妙でよい(東雲騎人/イラストレーター)
■緊張感のない会話のやり取り。緊張感のある銃の撃ち合い、騙し合い。すでに持っている人も、まだ読んだことのない人も、今すぐ1~9巻を読みましょう。そして。お帰りなさい、ブラックラグーンの世界へ。ようこそ、ブラックラグーンの世界へ(にせレスラーM/「とらのあな」MD課 コミック担当)
第3位(114ポイント)
『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』 宮崎夏次系
『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』
宮崎夏次系 講談社
『変身のニュース』『僕は問題ありません』の2作が、「このマンガがすごい!2014」でも大きく支持されていた宮崎夏次系の、新作短編集。
生き別れになっていた母親との偶然の再開、愛する人との何でもない日常にふと生じた違和感……。読む人に、言いようのない寂寥感をもたらすエピソードが、多数つづられています。繊細なタッチと独特の感性がつむぐストーリーは、色あせる気配がありません。
オススメボイス!
■宮崎夏次系先生の魅力爆発。あの世界観にハマる人はたまらないはず(福丸/喜久屋書店漫画館京都店 店長)
■設定が非現実的ではあるものの、死や不在は揺るがぬ現実であり、読者はそのギャップを楽しみつつ、その開きを埋める作者の力量に舌を巻くでしょう(永田希/「Book News」運営、書評家)
■デリケートな人々の心が行き交って、切なさや寂しさや胸の痛みが不思議な浮かび上がりかたをする。特殊な空気感と普遍的な抒情を味わえる(稲垣高広/ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人)
■天才の頭の中を覗いているような感覚。発想法からコマ割りからすべてがすごい(早川博志/「恭文堂」コミッククラフト店)
■なんとも言い難い感情をぎゅっと濃縮されて目の前に突き出されるような話ばかりで、くせになる(かとうちあき/「野宿野郎」編集長【仮】)
■センシティブだが虚無に陥らないところがいい。この感性はぜひ、より多くの人に知ってもらいたい(kaito2198/海外翻訳者)