365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月16日は初閻魔の日。本日読むべきマンガは……。
『幽☆遊☆白書』第19巻
冨樫義博 集英社 ¥390+税
1月16日と7月16日は、年に2度の地獄の休日、地獄の釜の蓋が開き、鬼や死者たちが休む「閻魔賽日(えんまさいじつ)」だ。
本日は今年初めての「閻魔賽日」ということで、「初閻魔」と呼ばれている。
地獄もお休みの日ということで、かつて日本の商家で働いていた奉公人たちも、この2日間だけは、落語のタイトルにもなっている「藪入り」の日として、休暇をとることができたのだ。
今回は、そんな初閻魔ということで、マンガ『幽☆遊☆白書』に登場する閻魔大王の働きぶりを紹介したい。
事故死したことをきっかけに霊界探偵となった浦飯幽助が、仲間とともに強敵へと立ちむかっていく本作では、閻魔大王の息子であるコエンマが、主人公・浦飯幽助とその仲間たちをサポートする上司として序盤から多く登場する。
コエンマの父にして、霊界の長である肝心の閻魔大王の方はというと……序盤はほとんど登場しない。せいぜい、蔵馬と飛影が仲間になるきっかけとなった霊界の三大秘宝を巡る事件で、コエンマの尻を叩いている描写がギャグっぽく描かれるくらいであった。
そんな閻魔大王がようやく話題に上がるのは最終盤。
それも、霊界の利権を守るため、人間界における魔界の住民による悪行をでっち上げていたということが明らかになるという、不名誉極まりないエピソードであった。
このように原作ではいいところがあまりなく、仕事をしている印象のやや希薄な閻魔大王なのだが、アニメ版では前述の汚職に関するシーンはカットされており、登場シーンも増えて厳格な父親キャラとしての一面がクローズアップされている。
さらに、劇場版第2作『冥界死闘篇 炎の絆』では、かつて魔界の上に存在していた冥界の王・ヤクモが霊界へと侵攻してきた際、それを打ち破っていたというエピソードが語られ、地味に強いことが発覚。
さらには劇場版第1作でも、閻魔大王の持つ霊界統治の証「金印」が話のキーになっていたりと、アニメオリジナルのエピソードでは、閻魔大王っぽい仕事をしている一面が多く描かれている。
地獄も休むと言われている本日「初閻魔」はゆっくりと休息をとりつつ、今回紹介した『幽☆遊☆白書』の閻魔大王や、いいひと感がにじみ出ている『ドラゴンボール』の閻魔大王など、マンガ界の閻魔様の仕事ぶりを振り返ってみてはいかがだろうか。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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