『塾生☆碇石くん』第1巻
荒木光 講談社 \607
(2014年6月6日)
中学入学直後からエリートヤンキー街道を走っていた碇石くんが、ひょんなことから進学塾に通い始め、めきめき偏差値を上げるも、親友を救うため第一志望の受験をスルー。
結局は不良の巣窟・益垣高校に入り、否応ナシにケンカに巻き込まれる日々を送っていたのが、本作のシーズン1にあたる『ヤンキー塾へ行く』(全4巻)。
シーズン2といえる本作は、『ヤンキー塾へ行く』から路線変更。ヤンマガ風味なバイオレンスはぐっと抑え目になった。
バリバリの強面で街行く不良も避けて通る碇石くんは、相変わらず塾通いを続けていて、すでに偏差値は70オーバー。同じ塾生で片想い中の留年生・比呂奈ちゃん(偏差値39)に、なんとか成績をアップしてもらおうと奮闘中である。
不器用で無口ながら、一途に比呂奈ちゃんのことを想い、ブライアン(クマのぬいぐるみ)を通して一生懸命に気持ちを伝えるシャイな碇石くん。
そんな彼が綺麗さっぱり真人間になったのかといえばそうではなく、隠れてタバコを喫うし、比呂奈ちゃんからキツく禁止されている暴力をふるう場面もある。しかしながら、派閥争い的な喧嘩上等からは、完璧に卒業したご様子。
宇宙飛行士という大きな夢に一歩一歩近づいていく碇石くんと、ツンデレな比呂奈ちゃんの健気な頑張りに癒される、“ほのぼのヤンキー漫画”へと新生した本作に注目だ。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
個人サイト「ドキュメント毎日くん」