『鉄風』第6巻
太田モアレ 講談社 ¥648
(2014年6月6日発売)
休載から復帰し、2年ぶりに描かれた女子総合格闘技場。
ブランクを感じさせるどころか、休載前以上の「鉄風」が吹き荒れているじゃないか!
充実しているやつが許せないという理由で、総合格闘技を始め、天才的なセンスで勝ち進む石堂夏央。
妹のようにかわいがってくれていた、空手一筋の沢村早苗とリングで相対する夏央だったが、最新6巻では意外な形で因縁の決着をつける。
本作の世界では、ある程度の強さは努力でなんとかなる。しかし本当に強くなるには、頭のネジがはずれないとならない。
笑顔で対戦相手を蹂躙して「楽しいね!」と言えてしまう馬渡ゆず子はその代表。クレイジーな充実を謳歌する彼女を見て苛立ち、自身の手で潰すため、強くなろうとする夏央もまた、クレイジーだ。
もっとも夏央に関しては、本巻であるトラウマが関わっていたことが描かれ、まだ人間的なんだと読者も理解ができる。
しかし、ゆず子は過去のエピソードを見れば見るほど「壊れている」ことを痛感させられる。まったくもって気持ち悪い。
だが、気持ち悪い彼女らが、相手の心をリング上で折る暴力を働くさまは、読んでいてたいへん気持ちいい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
個人サイト たまごまごごはん