365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月6日は梅の日。本日読むべきマンガは……。
『クレヨンしんちゃん まつざか先生編』
臼井儀人 双葉社 ¥381+税
6月6日、そろそろスーパーに梅の実が並び始める頃。今年も梅しごとが始まるぞ。
そんな今日は、梅の日。天文14年(1545年)の6月6日に開かれた神事で、後奈良天皇に梅を献上したという故事にちなんだ記念日らしい。
この時の梅の献上が、現在のお中元文化の始まりだともいわれる。
さぁ、マンガ界で“梅”といったら?
今回は、国民的アニメとしても大人気の『クレヨンしんちゃん』から、まつざか梅を熱烈推薦。
梅さんが大活躍する『クレヨンしんちゃん まつざか先生編』をぜひ読んでほしい。
『クレヨンしんちゃん』のごくごく初期には、高飛車で派手好き、ちょっとイジワル……なキャラクターとして描かれていた梅さん。
だが、物語が深まるにつれ、田舎育ちの純情娘で情に厚い、梅さんの本当の顔が見えてきた。しんちゃんのクラスの担任、吉永先生とだって、口ゲンカしながらも、心のなかではお互いを認めあっている。
同じく口ゲンカの絶えないお姉ちゃんたちのことも、本当は大切に思っている。
口は悪いし、化粧は厚いけど、梅さんてば、本当は超いいヤツだったりするのだ。
濃いキャラクター満載の『クレしん』ワールドのなかでも、梅さんの持ち味はキラリ☆と光っている。
しかし、梅さんの恋路はなかなかヘビー。
長い冬を経て、ようやく梅さんにも春が訪れたのに……。恋人の行田徳郎(ぎょうだ・とくろう)が、爆弾テロで非業の死をとげてしまう。ほのぼのワールドにそぐわない、あまりに唐突な展開だ。
なんで梅さんにだけ、こんな試練が課されてしまったのだろう。
胸にたまる思いは多々あれど、そこは『クレヨンしんちゃん』だ。
梅さんが笑顔を取り戻す様子が、くだらない(ほめ言葉!)ギャグシーンを交えながら描かれる。
梅さんが生きる道を選んでくれて、本当によかった……!
まったくもう! ギャグマンガなのに涙を誘うなんて、反則なんだからねっ。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。