365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月23日は勤労感謝の日。本日読むべきマンガは……。
『はたらけ、ケンタウロス!』
えすとえむ リブレ ¥600+税
11月23日は勤労感謝の日。「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」祝日である。
いたって普通だ。
ならばこそ、ちょっぴり普通じゃない人……ではなくて生物、いや、幻獣? が働く姿を描いたマンガを紹介したい。
えすとえむの『はたらけ、ケンタウロス!』はケンタウロスが社会進出し、人間にまじって仕事に従事する、という奇想天外なオムニバスストーリーだ。
上半身はスーツ、下半身はそのまま馬、というビジュアルもインパクトがありすぎる。しかし、道路にはケンタウロス専用車線があり(車両扱いなのか?)、飲み屋では立ち飲みするなど、妙に地に足がついた設定が笑いを誘う。
ただ、ケンタウロスたちは「馬」として扱われるのはいい気がしないという。たとえば、馬刺しを食べていて「共食い」扱いされる、など……。
クスリと笑えるなかに、マイノリティが社会で働くうえでの痛みについて、考えさせられる面もある。
ケンタウロス雇用に関する法律を勝ち取るまでに、長い歴史を重ねてきた彼らはおおむね勤労意欲が高い。
それでも、身体の大きさや、見た目の違いなどで人間側から意図しない差別を受けてしまったり、思うように働けなかったりするケースもある。しかし、熱意のある者どうしが支えあえば、人間とケンタウロスだからこそなしえる仕事や、種族を越えた感謝の念も生まれてくるのだ。
祝日の翌日は、会社に行きたくない気持ちになりがちだ。
最後のエピソードに出てくるゆとり世代(?)のケンタウロスのソーマが、兄に宛てて書く手紙を読むと、もうちょっとがんばってみよう、という気持ちにさせてくれるかも。ブルーになる前に一読していただきたい。
<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWEB記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。