日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『マンガ家 夜食研究所』
『マンガ家 夜食研究所』
村田雄介 講談社 ¥750+税
(2016年12月2日発売)
漫画家の生活というと、昼も夜もなく原稿を描き続けているイメージはないだろうか?
特に〆切が近づいているにもかかわらず原稿が間にあいそうにない、俗にいう「修羅場」の状態では寝ずにぶっ通しで仕事をしている人も少なくない。
そんな彼らの元気の源が、おいしい夜食。
腹が減ってはなんとやら、どんなに忙しくても食事を取らなければ原稿もままならないだろう。
では、彼らはいったいどんな夜食を食べているのか。
それをひもとくような1冊が登場した。それが『マンガ家 夜食研究所』だ。
本作の著者は、売れっ子漫画家・村田雄介。
『アイシールド21』や『ワンパンマン』で知られる著者は、まだお金もなかった新人時代、自炊することで飢えをしのいでいたそう。
それはやがて習慣になり、ヒット作を連発する現在もみずから夜食をつくっているのだとか。
とはいえ、漫画家にはとにかく時間がない。
だからこそ、本作に登場するレシピはどれも簡単にできるものばかり。
食卓には、餃子の皮でつくる「一口ピザ」や、冷凍うどんを利用した「肉うどん」、たまごご飯をフライパンで焼いただけの「激カンタンオムライス」などが並ぶ。
そのどれもがすぐに再現できそうで、しかもとってもおいしそう。
著者のイラスト力も相まって、読んでいるとおなかが鳴ってしまう。
また、それぞれの夜食にまつわるエピソードも秀逸。
特に、昔険悪な仲だった祖母とのエピソードは、涙なしには読めないだろう。
さすが漫画家、見事な構成力である。
売れっ子漫画家がどんなものを食べているのか。
本作を読みながら、その生活をのぞき見してみてはいかがだろうか?
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。