365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが 「きょうのマンガ」です。
7月12日はラジオ本放送の日。本日読むべきマンガは……。
『後遺症ラジオ』 第1巻
中山昌亮 講談社 ¥600+税
本日7月12日は「ラジオ本放送の日」。
1925(大正15)年、現在のNHK(日本放送協会)の前身である東京放送局がラジオの本放送を開始したことにちなむ記念日である(※ちなみに3月22日から仮放送を始めている)。
なお、その記念すべき第一声は、現在も使われているコールサインである「JOAK」。
ゆっくりと、万感の思いをこめるように「ジェーイ・オーウ・エーイ・ケーイ」と読みあげたと伝えられている。
さて、マンガでラジオといえば、元カレの愚痴トークがきっかけでラジオDJとしての道を歩み始める『波よ聞いてくれ』がここ最近の話題作。
でも、タイトルにズバリ“ラジオ”が入っているうえに、これから夏を迎えるにあたってピッタリの作品があるのを忘れていませんか?
そう、『後遺症ラジオ』です。
夏といっても爽やか方面ではなく、思いっきり怖い話系のヤツですが。
著者は『不安の種』で不条理な恐怖を世に撒き散らした中山昌亮。
『後遺症ラジオ』もその血脈を受け継ぐ不気味なエピソードのオムニバス作品だが、こちらの特徴はじっくり、じわじわとストーリーが連続していることである。
個々の出来事だけでも充分すぎるほど気持ちをゾワゾワさせられるが、最初はまるで関係ないように思えた事件が絡まりあっていることが見えてくると、心底ゾッとしたものが……。
そして、共通して“髪の毛”にまつわる話だというのも、イヤ~な感じに拍車をかけている。
もっとも、タイトルにある“ラジオ”は、今のところストーリーには無関係なのだが、ノイズ混じりに謎の音声が混線するかのような感覚は、昔ながらのラジオ放送を彷彿とさせるところはあるかもしれない。
ま、意味はわからなくとも、不穏な想像力を刺激するタイトルじゃないですか? 『後遺症ラジオ』って。
一度読むと、スイッチを切りたくても切れない恐怖の声に悩まされるかもしれませんよ……?
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。