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『少年たちのいるところ』 古屋兎丸 【日刊マンガガイド】

2017/08/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『少年たちのいるところ』



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『少年たちのいるところ』
古屋兎丸 新潮社 ¥680円+税
(2017年7月7日発売)

『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』と著作の実写映画化が相次ぎ、幅広く注目を集めている古屋兎丸の最新作。

「普通の高校生活を送る」ことを目標にする高校一年生の佐野霧。
新しい環境やストレスがかかるとすぐ自慰してしまう「自慰依存」であることを自覚しつつも、だからこそ必死で「普通」であろうとする霧だったが、ひょんなことから同じクラスの南野竜になつかれ、気が付けば学校でもそれ以外でもいっしょ。
離れている時は一分間隔でラインが来るという異常事態に。
じつは竜は友だちなしでは生きられない「友だち依存症」だったのだ。

そこに竜に思いを寄せるコミュ障の奈良崎すばる、痛すぎる妄想美少女・菜乃も加わり、ちょっと、かなり普通でない四人の高校生活が描かれてゆくのだが、これがまたありえない展開の連続ながらも妙にピュアで楽しげで微笑ましくって、「普通って何? てか、そもそも普通である必要ってある?」としみじみ考えさせられる。

いつのまにか自分のなかで「普通」になって、永遠に続くものとすら思っていた日々が突然終わり、そのかけがえのなさに初めて気付く霧。
その夏の残像のような刹那で儚いきらめきには、「これぞ青春!」と胸を突かれる想い。

巷にあふれるキラキラした青春映画をまぶしく思う気持ちはあっても、どうやったって感情移入はできない……という人にこそ読んでほしい、古屋兎丸版『スタンド・バイ・ミー』な一冊だ。

それぞれ闇を抱えながらも不思議に明るい、登場人物らのキャラクタがケッサク&魅力的すぎて、一巻で終わるのはあまりにもったいない。

ぜひとも続刊&『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』同様、今をときめくイケメン俳優で映画化を切に希望したい。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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