日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『転生して田舎でスローライフをおくりたい』
『このマンガがすごい!comics 転生して田舎でスローライフをおくりたい』 第1巻
錬金王(作) 小杉繭(画) 阿倍野ちゃこ(キャラクター原案) 宝島社 ¥640+税
(2017年8月26日発売)
働きすぎて疲れ果てた会社員・伊中雄二はトラックにはねられ、27歳で死亡。その魂は手違いで科学のかわりに魔法が発達した世界にきてしまい、“転生”することになった……。
異世界に転生する人が、前世の知識や経験、転生により授かる異能力を、冒険ではなく「のんびり暮らすこと」に注ぎこんだとしたら?
じつはそれこそが、心が傷だらけの現代人にとって本当の願いじゃないだろうか。
地方の領主の次男に転生した雄二こと、アルフリート=スロウレット(通称アル)がやっているのは、まさにそれだ。アルは赤ん坊の頃から努力家で、神さまからもらった空間魔法をコツコツ練習。その理由は、長距離を移動したり、重いものを持ったり、「田舎でラクをするため」だ。
成長して3歳児になったアルだが、休んでる暇なんてない。かき氷をつくり、この世界にはないスパゲッティを料理人と協力して麺から開発し、8つの属性を操る魔法を無詠唱で行う。すべて、「のんびり快適に暮らすこと」に向けられた努力だ。
忙しく暮らす現代人が本当に転生したら、アルのように「自覚なくコマメ」になるかもしれない。が、がんばりはどれも自分のため。会社や偉い人に強制されてることはひとつもない。 それにアルの「めざせスローライフ」の奮闘は、家族やまわりの人たちも笑顔にする。本来の「働く」ってこういうことなのか、と思わされるのだ。
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<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)、『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』、『超ファミコン』(ともに太田出版)など。