『ゾンビチャン』第2巻
真島悦也 小学館 \800+税
(2014年9月19日発売)
何度目かわからないけど、今はゾンビブームである。
ゾンビもののおもしろさは「感染することで増える」「人々をパニックに貶める」「死なない」という、追いつめる感覚にある。
それを逆手にとって、ゾンビ視点で描いたギャグマンガがこの作品。
ゾンビ側からみたら人間は捕食対象。彼らがどんなに泣こうと逃げようと、さしたる問題ではない。
特に強烈なギャップを感じさせたのは、ヒロインのゾンビたちが見つけた車のなかで、女児がレイプされそうになっていたシーン。
しかしゾンビだから、加害者も被害者も、ぺろっと全員食べてしまう。そしてひと言。
「いやーオマエいいことしたなー。犯罪を未然に防いだなー」
荒廃し、パニックになっている人間たちの姿は、ゾンビからはこんな程度にしか見えていない。
フキダシを使わず、セリフはコマに直接書きこむ珍しいスタイルを使い、ゾンビが言葉をしゃべっているのかどうかあやふやにしているのもいい。
主役は序盤で左腕をなくしているし、準主役は首しかない。スラップスティックで、下品な会話てんこ盛りなゾンビライフ。なんだかちょっと楽しそうに見えてくる。
もっとも、見た目かわいい彼女たちも、人間側から見たらバリバリ人を喰う、恐怖の対象なんですけどね。
そこをいっさい見せないのが、おもしろい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」