『新ナニワ金融道 青木雄二物語』第2巻
青木雄二プロダクション 扶桑社 \556+税
(2014年9月29日発売)
金を貸す側、借りる側、双方の悲哀を描いてメガヒットを飛ばした現代人のマネーバイブル『ナニワ金融道』の作者・青木雄二。45歳という遅咲きの漫画家デビューをはたし、あっという間に超人気漫画家に昇りつめた青木とは、どんな人物だったのか?
第1巻では、19歳年下の妻とのなれそめが描かれたが、本巻では詐欺師の狡猾な手口をおもしろおかしくマンガにしてきた青木自身が、まんまとだまされてしまう驚きのエピソードが披露される。
平成9年。すでに漫画家をリタイアして、講演会や書籍、原作の仕事に奔走していた青木の前に、坪崎信次郎という怪しげな人物が近づいてくる。
不動産屋の社長を名乗る坪崎は、運転免許をとったばかりの青木に新車のポルシェを安く卸したり、コラムのネタになるような業界話を提供したりと、かいがいしく世話をし始めた。青木の妻は坪崎のことをいぶかしがっていたが、青木本人は全面的に信用してしまう。
はたして1億7000万円もの金をだまし取られてしまうのだが、転んでもただでは起きないのが青木のすごいところ。なんと坪崎をモデルにした小説『桃源郷の人々』をイッキに書き下ろしてしまうのだ。
この作品は、2002年に『金融破滅ニッポン 桃源郷の人』というタイトルで、三池崇史監督の手で映画化もされている。
坪崎騒動の直後には、待望だった息子が誕生し幸せを満喫していた青木だったが、口腔ガンが見つかり、2003年に58歳の若さで逝去した。
物語はここで終わりかと思いきや、再び時計の針を巻き戻し、デザイン事務所を経営していた32歳の青木が登場する。5、6人の従業員を抱えながら必死に働くも、クライアントからの無理難題により金策に走ることになる青木。『ナニワ金融道』の源流に踏みこむ今後の展開に注目だ。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」