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『イモムシのおよめさん 吉元ますめ短編集』 吉本ますめ 【日刊マンガガイド】

2015/01/14


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『イモムシのおよめさん 吉元ますめ短編集』
吉本ますめ KADOKAWA/メディアファクトリー \590+税
(2014年12月22日発売)


現在『くまみこ』で人気の、吉本ますめのデビュー作が、この単行本の表題作。
妖精と花と虫の国で、妖精の純血をたもっている美しい少女イザベラ。お嬢様として育てられた彼女は、家庭の問題でとある御曹司と結婚させられることになった。その相手がイモムシだった。

『美女と野獣』を彷彿とさせる設定とタイトルだ。あるいは「イモムシ」なら羽化するんじゃないかな、とか。
しません。羽化もしないし、イケメン王子にもならない。イモムシはイモムシのままだ。
当然イザベラは大反対。いざ結婚となっても猛反発。流し流され結婚する羽目になっても、元カレに声をかける始末。イザベラは「純粋な心の女性」なんかではなく、超絶わがままお嬢様のまま。
イモムシのリチャードはまじめな働き者。会社がうまくなりたっているのは彼の働きのおかげだというくらい。同時に自分の容姿が美しくないこともわかっている。心底彼女をあわれに思い、なるべく会わないように会社にこもって仕事に没頭している。

2人を結びつけるような劇的な出来事は起きない。リチャードの純粋な心に打たれて愛が生まれることもない。マンガ内では別件で事件は起きるものの、2人の間には、ほぼ何も起きない。
ところが最終的に2人が、なんとなく側にいるようになる。

この手の作品は、タイトルの時点で「結局2人はうまくいくんでしょう」というのはどうしてもわかってしまうもの。そこで、作者流の「ともに過ごす」とはなんなのかを、きっちり描くことに成功しているのはみごと。
2人にドラマティックな「恋愛」はない。「赤い糸」の作者なりの解釈だ。

この極めて曖昧な「ともにいる力」は、『くまみこ』の信頼関係描写にも生きているので、比較して読んでみてほしい。


<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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