『地下アイドル、職場の男にバレまして』
都陽子 祥伝社 \680+税
（2015年2月6日発売）

タイトルだけみて、最近流行のコミックエッセイかと思ってたら、気持ちよ～く裏切られた。

平日は地味な派遣OL、週末は“地下アイドルのキリちゃん”という2つの顔をもつ27歳の田中桐子は、ある日、路上で撮影イベントをしていたところを職場の性悪男・平野にみつかってしまう。

「バラされたくなかったら俺の言うこときいてよ」と食事につきあわせたり、家に呼びつけて踊らせたり――。

Sっ気たっぷりに笑顔で桐子を翻弄する平野がたまらん！というと、マニア向けのようだが、ストーリー自体は内気でネガティヴゆえに、アイドルとして歓声を浴びることを夢みてきた女の子が、ありのままの自分を受けいれてくれる男の出現により、本当の居場所を見つける――という少女マンガの王道。

「フィール・ヤング」連載作らしい、スタイリッシュな絵と地下アイドルというオタク世界とのミスマッチも、なんともいえない味を醸し出している。

ちなみに著者には、イケメン童貞のよたよた恋愛を描いた『カレは女とシたことがない。』なる作品もあるそうで。次作はどう来るのか？ 気になる！

＜文・井口啓子　＞
ライター。月刊「ミーツリージョナル」（京阪神エルマガジン社）にて『おんな漫遊記』連載中。「音楽マンガガイドブック」（DU BOOKS）寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter：@superpop69