『あねくらべ』
東雲太郎 白泉社 \600+税
(2015年2月27日発売)
お姉ちゃんキャラとのイチャイチャを描かせたら、日本でもトップレベルのマンガ家・東雲太郎。
『アマガミ』と『キミキス』のコミカライズでは、恋愛寸止めのドキドキ感を描ききった。今回は「ヒロイン全員お姉ちゃん」と、全力投球だ。
といっても、血のつながった姉ではない。主人公の春日部瞬は高校に入学したばかり。幼稚園からの幼なじみの2年生4人の女の子が、瞬のお姉ちゃんとして仲よく暮らしていた。だから瞬はそれほど4人を女性として意識していなかった。
マジメな生徒会長だけど、甘えん坊な中野由梨香。
ボーイッシュな陸上部の少女、黒松莉桜。
PCが好きなオタク趣味のマイペースっ子、桂七海。
家庭的で料理やおもてなし上手な、本郷未来。
瞬が高校に入ったということで、4人のお姉ちゃんは「いつまでも続く腐れ縁」から一歩踏み出し、瞬が誰とつきあうか選ぶようにと言い出す。
状況だけ取ると、とんでもない修羅場マンガ。
それぞれのお姉ちゃんのいる部活に顔を出しては、胸に触れたり、キスを迫られたり、パンツが見えたりとラッキースケベの連発。たいへんハーレムでうらやましいことこのうえない。
しかし一歩間違えば、独占欲のぶつかりあいで、今まで仲良しだった幼なじみが血で血を洗う争いになりかねない。
実際、嫉妬で彼女たちがすれ違うシーンもある。
ところが彼女たち、やたらと和気あいあい。由梨香と瞬が舌を絡めるキスをしていた時、残りの3人が見ていた、なんて場面。でも由梨香は「やぁん、見られてたの」、みんなは「あはは」と笑う。青ざめるのは瞬だけ。
徹頭徹尾、女難をハッピーに変えていくのが東雲流。
性行為はないのにエロマンガよりエロいのも東雲流。
心も身体もギリギリな展開を楽しめる1冊。オススメは強引グマイウェイな七海さんです。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」