『アオハライド』第13巻
咲坂伊緒 集英社 \400+税
(2015年5月25日発売)
ビッグヒット青春ストーリー、ついに完結!
作品に描かれた彼女の2年間をあらめてふり返ると、一個の人間としての成長ぶりにもグッときてしまう。
中学時代、男子にモテるがゆえに悪口をいわれた双葉は、高校ではあえてガサツな女子を演じ、“女子社会”で表面上うまくやることに努めていた。
そんな双葉を変えたのが、洸との再会だった。
中学1年のとき両思いになっていながらも洸の転校で離ればなれに……しかし、3年ぶりに再会した彼は名字が変わっており、大人びてクールな性格に変貌をとげていたのだ。
周囲とうまくやるためにどんなに巧みに自分を演じても、心のなかは変えられない。本作は、双葉が自分と向きあっていく心理描写が大きな読みどころだ。
うわべだけのつきあいではなく、本音を語りあえる友だちと結びあうまで。ソフトで紳士的ではあるが、まっすぐに想いをぶつけてくる冬馬に心揺さぶられたり。
どんなときも自分の本心に問いかけ、答えを出すなかで双葉は強くなっていったのだ。
前巻で、やっと洸と恋人同士になれた双葉。そして高校3年の春を迎え、洸はある決断をする……。
さて、「『アオハ』が終わっちゃってさびし~い」と嘆くみなさんに朗報だ。
咲坂先生の新連載が早くも「別冊マーガレット」7月号(6月13日発売号)からスタート。恋愛の価値観が真逆な2人のヒロイン×2人の男子の物語『思い、思われ、ふり、ふられ』に注目しよう!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」