『ダンまち4コマ そもそもダンジョンにもぐるのが間違いではないだろうか』
大森藤ノ(作) ちょぼらうにょぽみ(画) ヤスダスズヒト(キャラクター原案)
スクウェア・エニックス \500+税
(2015年6月25日発売)
『あいまいみー』などで有名な、著者のちょぼらうにょぽみ。
原作つきの作品のマンガを描く場合、もとの作品の持つ世界観を何もかもぶっ壊して、「ちょぼらうにょぽみワールド」に引きこむ作家だ。
原作は大森藤ノの小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。
最近アニメ化され、特に両腕に結んでヒモで巨乳を持ち上げているトランジスタグラマーな神様・ヘスティアのスタイルはネットで大きな話題を呼んだ。『ダンまち』を知らずとも「例の紐」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではなかろうか。
そのヘスティアのエロかわいさと物語の世界観を、ものすごい勢いでぶっ壊した。安定のちょぼらうにょぽみである。
たとえば国が一大事業を完成させた日のこと。
事業内容は「新しく隣の国への高速流しそうめんが開通」。
たとえば病院に行った主人公のベルくん。
医者が答えた治療法は「しばらくの入院と 春を愛する心です!」
どうしても最新型炊飯器が欲しいヘスティアが、電気屋からほぼ強奪に近い形で持っていく回。
なぜ炊飯器?
こんなノリなので、原作を読んでいる必要はまったくない。
原作からの登場キャラは多いが、「悪いやつだ!」「いいやつだ!」とばっさり紹介(?)しているので、問題なし。
むしろ同じものだと考えてはいけない。これは『ダンまち』のスピンオフではない。これは、あくまでも「ちょぼらうにょぽみマンガ」だ。
『弱酸性ミリオンアーサー』など、自分のスタイルを全く曲げないちょぼらうにょぽみ作品は、ひとつのブランド。
おそらく今後も、ほかの作品のパロディマンガを描いた場合、「ちょぼらうにょぽみだから」と原作を知らないファンが買っていき、元ネタ作品に“逆流”する可能性は高い。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」