まいてはいけないローゼンメイデン
ちょぼらうにょぽみ(画) PEACH-PIT(案) 集英社 ¥555
(2014年4月18日発売)
耽美な作風で知られるPEACH-PIT『ローゼンメイデン』を、不条理ギャグマンガ界の旗手・ちょぼらうにょぽみが独自の解釈で描いたスピンオフ。シリアスな展開が多かった本編とは打って変わった、クレイジーなちょぼらうにょぽみ節が堪能できるシュールギャグマンガだ。
まるで遠慮という言葉が辞書から抜け落ちているかのような、エッジが効いたネタの数々は、およそ商業作品とは思えないほどに「攻めた」内容となっている。
ローゼンメイデンたちは、支離滅裂な言動を繰り返す病的なまでのハイテンションキャラへと改変されている。例に出せば、「過剰な被害妄想から水銀燈の住処焼き討ちを提案する真紅」、「メントスコーラを使ったいたずらで雛苺を溺死寸前まで追い込む翠星石」……などなど、熱心な原作ファンの心臓を止めかねない、あまりにもハチャメチャな内容ばかり。
しかし、その投げやりにすら思える無軌道で破壊的なギャグが、原作とのギャップをこれ以上ないまで引き出し、作品をひとつ上の段階へと昇華させているのは間違いない。
原典『ローゼンメイデン』最終第10巻と本作は、同日の発売となっている。多くのピュアなローゼン読者たちが、最終回の感動覚めやらぬままに本作を読むことになると思うと、エキサイティングな読書体験の予感に、ついついほくそ笑んでしまう。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。