本誌ランキングでオンナ編1位に輝き、現在もますます人気を増す『俺物語!!』。単行本最新第6巻発売直前の今、異色のようで王道、ピュアで熱血な『俺物語!!』の原作を担当する河原和音先生に、創作への想いを語っていただいた。
作画のアルコ先生のインタビューはコチラ!
【インタビュー】 キスシーン、ついにきました! 『俺物語!!』 アルコ×河原和音 【前編】
ついに来た、猛男のモテ期!?
――2年連続のランクイン。『俺物語!!』の勢いはとどまるところを知らず、絶好調ですね!
河原 ありがとうございます。楽しく描かせていただいてます。
――『このマンガがすごい!2013』誌上でインタビューさせていただいたとき、猛男のイメージは「男にモテる男」として出発したとお聞きしました。単行本4〜5巻では「実は女子にもモテてる猛男」が描かれ始めましたね。
河原 連載になったことで、砂川のお姉さんの事も、猛男が女の子にモテたらどうなるのかなというのも描けました。
――考えてみれば、小さい頃から猛男を想っていた砂川のお姉さんは人を見る目がありますよね。後輩の織田くんに「猛男に彼女がいても一度告白して気持ちにケリをつけたほうがいいんじゃないか」と助言されて……ここからのお姉さんの心の動きと行動が実に彼女らしくて、読んでいて高まります!
河原 遊園地で2人きりになったとき、砂川のお姉さんが小さい声で「…猛男」とつぶやいて、猛男が気づいて振り返る場面の絵がとても気に入ってます! 私は普通の大きさの吹きだしで描いたのですが、アルコさんが小さくしてくれて、すごくよくなったと思いました。
――織田くんも如才ないようでどこか人がいい、味わい深いキャラですよね。砂川くんのお姉さんとの関係は、今後どうなるのでしょうか。
河原 まだ具体的な構想はないですが、考えるのが楽しい人たちなので、描きたいです。
――どのキャラも魅力的で、それぞれのストーリーをもっと知りたくなります! もちろん、猛男と大和さんの恋が少しずつ育っていく様子が軸にあってなのですが。
河原 この話では、人混みのなかで大和と猛男が再会するところの絵もお気に入りなんです!
――遊園地ではぐれてしまって……でも、メインのパレードを2人で見るという約束を果たすためにお互いを探しあって、出会えた瞬間の場面。感情移入しながら眺めてしまいました。物語が進むなかで、猛男の魅力、人物像がより深まっていくように感じます。
河原 アルコさんの作画のイメージを受けて、より楽しく、少しずつ変化していっているのかなと思います。
――キャラが自由に動き出して「この子、こんな性格だったんだ?」などと再発見することはありますか?
河原 あります。1巻1話目の、鉄骨が倒れてきたときに、砂川は大和さんをかばって、一方の猛男は鉄骨を支える場面。「自分は王子様になれないのか」の後で、「だけどあの子は助かるんだからいいんじゃねえか」と、猛男のほうから声が聞こえてきたので、不思議でした。
――猛男ならではのやさしさのあり方が表れている名シーンですね!
体育祭こそ猛男の独壇場!
――そして、猛男に惚れる同級生、西城さんの登場は衝撃的でした。西城さんのキャラクターはどんなイメージで造形しましたか?
河原 ふつうの女子! クラスにいそうな子! と思って描きました。
――当初は「走るのは遅いしリレーなんて面倒くさい」と思ってそうで。だからこそ、猛男のまっすぐさを新鮮に感じてひかれたのかも?
河原 これもアルコさんの力によるところが大きいんですが、動きのあるシーンの猛男がかっこいいんですよね。体育祭で、西城さんが転んで顔を上げた時の猛男のポーズが笑えるのにカッコよくて。大好きです。おしりとか。
――めっちゃカッコイイですよね!! 客観的に見るとちょっと笑えもするんですけど、この本気の顔、本気の体勢が素晴らしい!
河原 アルコさんが西城さんを可愛く作ってくれたので、登場2回目からはビジュアルに寄せて性格をふくらませていきました。
――ちょっと強がりなところもあるけど、素直で積極的な感じですね。彼女がいると知っていて猛男を好きになってしまって苦悩しますが、自分の気持ちにまっすぐで。
河原 西城さんが足をくじいてしまったとき、猛男じゃなくて砂川がおんぶすると言い出したときの西城さんの表情がまた可愛らしくて好きなんです。
――わかりやすい(笑)。ところで、西城さんが猛男にアプローチするくだりでは、ずいぶん砂川くんが活躍していましたね。
河原 そうですね。砂川はやさしいと思っていて。やさしさにも色々種類があると思うんですけど、西城さんへの接し方で、砂川のやさしさはこういう感じなんだなぁと思いました。
――イケメンな上に内面もカッコいい砂川くんの恋愛を描かれる予定は?
河原 今のところはまだ具体的には考えてませんが……一生独身ということはないと思うので、時が来たら描きたいですね。
――しかし、西城さんから告白されたことで、猛男もまた恋愛面で成長しましたよね。自分から「好き」というのが恥ずかしかった猛男が大和さんに「オレには大和だけだ」というシーンは感動的でした。