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『ハピネス』第1巻 押見修造 【日刊マンガガイド】

2015/08/06


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『ハピネス』第1巻
押見修造 講談社 \430+税
(2015年7月9日発売)


地味で気弱ゆえ、クラスではパシリ扱いされている高校1年生の岡崎は、夜道で謎の少女に襲われ「このまま死ぬ? それとも、同じになる?」という決断を迫られる。
そして首に残された謎の傷跡とともに、サエないながらも平穏な彼の日常は一変してしまう――。

あの押見修造の新連載が「吸血鬼もの」と聞けば、すわ、新機軸!? という気もするが、その根底にあるテーマを、思春期の青年の「理性と本能のせめぎあい」「愛=同化=自己実現」と読み取れば、これまた見事なまでにブレのないザ・押見ワールドなわけで。

自分でもワケのわからない「衝動」に突き動かされながらも、現時点ではギリギリのところで自分を抑えている岡崎。
今後、彼はどうなってゆくのか? 謎の吸血少女は何者なのか? 
そもそも、はたして本当に吸血少女は実在するのか? 

まだ1巻という序章段階ながら、そんな謎解きすら吹っ飛ばす、異様なテンションが全編にみなぎっていて、早くも名作の予感大。
『悪の華』同様、気弱な主人公がタイプの異なる美少女2人(いわば、天使と悪魔!?)に翻弄される展開もありそうで、M男子は要チェックです。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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