『繋がる個体』第2巻
山本中学 講談社 ¥560+税
(2015年7月23日発売)
昨年12月に配信された「Dモーニング」の新人増刊号2014年冬に掲載され、人気投票で1位を獲得したため、晴れて「モーニング」本誌での連載が決定した『繋がる個体』の単行本1・2巻が同時発売された。
30歳サラリーマンの井口正行は、同僚に強引に誘われた合コンでかわいすぎる女子高生・ここみと出会う。
ここみのことが気になるものの「女子高生はヤバイ」と逃げ腰の正行に、自分に惚れない男はいないと思っていたここみは、本気で惹かれてしまう。
いっぽう、正行は同じ職場の元カノのくるみと復縁を願っていたが、くるみは過去の恋愛経験から好きな人との未来を描けないトラウマを抱えていた。さらに、ここみとくるみは実は血の繋がらない姉妹で――。
美人女子高生とOL姉妹との、うれし恥ずかしややこしの三角関係に翻弄される気弱なボク……って、これぞ男のファンタジー!という気もするが、気弱で優柔不断な正行のキャラクタは、女の目から見てもキュートな「萌え」キャラで。
ここみに迫られて焦りまくるシーンなど、最近の青年誌にはない、エロ甘酸っぱさ全開! 80年代のSF調コミックを彷彿させる、ソフト&チャームな絵柄も、そんな作品世界に絶妙にハマっている。
ここみの存在によって、大人のフリをして、じつは自己完結して諦めていただけの自分に気づき、不器用ながらも必死でつながろうとする正行とくるみの姿が、ほほえましくも清々しい。
本巻でとりあえず決着が付いて終了と思いきや、「3巻に続く」とのことで、まだまだ目が離せません。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69