365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。さて、本日読むべきマンガは……。
『スーパーマリオくん』第49巻
沢田ユキオ 小学館 ¥429+税
1985年9月13日、任天堂から1本のファミコン用ゲームソフトが発売された。
その名も『スーパーマリオブラザーズ』。
カメ一族のクッパにさらわれたピーチ姫を助けるために、配管工の兄弟(マリオ&ルイージ)が立ちむかうというストーリー。さまざまな敵や障害物を避けつつ、トラップにハマらないよう注意して、制限時間内にゴールを目指す横スクロールアクションは斬新で、瞬く間に全世界が熱狂することになったのは、ご存じの通りだ。
あれから30年。世界でもっとも売れて、世界でもっとも影響力を持ったゲームソフトが30歳を迎えるということで、「スーパーマリオ30祭(SUPER MARIO BROS. 30th Anniversary Festival)」が渋谷 duo MUSIC EXCHANGEで行われる。
スチャダラパーのBoseを始めとした数々のアーティストのほか、マリオの生みの親である宮本茂と近藤浩治の出演も決定しているこのイベント、プレミアムな一夜となりそうだ。
そんなゲーム界の金字塔、スーパーマリオのコミカライズで、現在も唯一連載が続いている作品が『スーパーマリオくん』だ。
「え、まだ続いているの?」と驚く諸兄も多いことだろう。
なにしろ連載開始は「コロコロコミック」1990年11月号(スーパーファミコン誕生を記念した特別企画だったが、反響が大きく連載化)。
すでに連載は四半世紀にわたっており、小学生だった初期の読者も30代に突入している。連載当初37歳だった作者の沢田ユキオも、還暦超えの62歳。
当然のことながら。「コロコロ」の最長連載記録を更新中だ。
この機会に第1巻と最新49巻を読みくらべてみたが、マリオを始めとした人気者たちが、クッパたちと丁々発止を繰り広げる作風は不動。
ピーチ姫が「ダメよ~ダメダメ!!」とツッコむなど、最新の芸人ギャグを織りこむのもあいかわらずだ。
衝撃を受けたのが49巻の第2面。冒頭でルイージが、こうのたまうのだ。
「兄さん、見て!! ゴールだよ!!」
それを受けたマリオは「そういえば、おれたちまだゴールしたことなかったなあ」……って、アンタたち20年以上もゴールとは無縁だったんかい!!
はたして兄弟がちゃんとゴールできたか否かは、コミックスをお手にとって確かめていただきたい。
10月下旬には記念すべき50巻が登場。相変わらずマリオたちはクッパ軍と仲よく戦い続けている。
20年、30年と時を経ても、子どもたちを楽しませ続けるスーパーマリオブラザーズと『スーパーマリオくん』に拍手喝采だ。
<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)など。