日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『少女決戦オルギア』
『少女決戦オルギア』第2巻
江島絵理 講談社 ¥500+税
(2015年10月6日発売)
特殊能力で全力で戦い、無慈悲な最期をとげる少女が見たかったら、読もう!
舞台は東京。みずからの体に怪物(アノマリー)を宿す「降神(エンチャント)」という魔術により、特異な能力をえる少女たち。
その力は、大爆発や水の弾丸などド派手なものから、自分の身体能力をひそかに上げるものまで、様々。
彼女たちは一定の決められた時間内に、町を徘徊して殺しあう。最後に残ったひとりだけが勝者だ。
これは最強の怪物を手に入れるためのゲーム。
奪い合っている「サンダルフォン」は、いかなる魔術も無効化する能力を持っている。
あらゆる魔術結社が、各々の思想を叶えるために、怪物を宿す少女たちをつかわし、それを狙っている。
キモは、ヒロイン・舞子が戦いに身を投じる理由だ。
舞子の親友・緋乃。彼女は、怪物に命を狙われており、このままでは間もなく死んでしまう。彼女は救う唯一の手段が、サンダルフォンの持つ能力なのだ。
彼女を助けたい。それだけのために、次々にほかの少女たちを殺害していく。
殺した子の人生については、極力考えないようにしている。
舞子の戦い方には、躊躇がまったくない。彼女が殺し合いで苦悩しないため、作品全体に湿っぽさがあまりない。
彼女の能力は、自在に操るリボンと、みずからの敏捷性の極限までのブースト。
派手ではないが、どう策略を練れば強力な能力持ち相手に戦えるか、頭を使ったハイスピードバトルを楽しむことができる。
第2巻では、1巻途中から出てきたクラスメイトであり敵である西見堂亜子と仲よくなり、戦闘時間中に出会っても、最後の2人でないかぎり戦わない、という約束をする。
同時に強力な能力の持ち主の御手洗、岸からも、戦略的不可侵の約束を持ちかけられる。舞子にしてみれば、緋乃を助けられればなんでもいいわけで、ここは悩みどころだ。
戦闘狂で人をいたぶって殺すのが大好きという、今までにいなかったタイプの瑠璃ノ森も登場。役者がそろってきた。
このゲームは、戦闘をする日と、してはいけない日がはっきりわけられている。
それぞれに合わせて、戦闘シーンのアクションの爽快感、日常シーンの女子たちのほっこりした友情が描かれる。
もちろん表裏一体。顔見知りになった少女同士が殺しあう日がくるのかと思うと、ワクワクしてしまう。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」